令和5年度入学式 校長式辞

式辞

  校庭の桜の花が春風に舞う中、今年もまた、最先端教育を目指す情報科学高等学校に新入生を迎える季節が巡ってまいりました。新型コロナウイルス感染症に悩まされた時代から、共存へと舵を切り、少しずつウィズコロナ社会へと変わり始めました。そんな中、皆さんの高校生活は、これから始まるのです。

 ただ今、入学を許可しました皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんの入学を教職員並びに在校生と共に、心から歓迎いたします。そして、保護者の皆様方におかれましても、お子様のご入学に対し心よりお喜び申し上げます。

 本校は、昭和63年に創立された、高度情報化社会を担っていける人材育成を目的とした、他の学校にはない大きな使命を持った学校です。特に君達には、新生情報科学高校の一期生として大いに期待しています。

 これからの日本は、少子高齢化がますます進み、近い将来、労働力不足に直面します。ある文献では、日本国内の601の職業を分析し、10~20年後には、日本の労働人口のおよそ半分が、AIやロボットに置き換わるといわれています。この結果だけ見ると「大半の仕事がなくなり、私たちは失業してしまうのではないか」と不安になるかもしれません。しかし、一つの仕事の中で全ての仕事が、AIに置き換わることなんてありえません。AIは決して万能ではありません。『創造性』があって『コミュニケーション』が必要で『非定型』な仕事をAIでは代替えできません。すなわち付加価値の高い仕事は、人が担っていかなければならないのです。例えば、医療の世界でいえば画像診断は、AIがすることになるでしょう。しかし、患者さんの話を聞きコンサルをするのは、人間でなければなりません。

 ならば、これから君たちが、求められる能力は、どんなものでしょう。私から高校時代に身につけてほしい3つの力を伝えます。必ず覚えておいてください。

①豊かな創造性を持ち、新しいものを創っていける力

②コミュニケーション能力に長けて、説得して人を引っ張っていける力

③マニュアルにないことでも対応できる、非定型な仕事ができる力

 しかし、AIを活用するには、ダイバーシティの考え方がとても重要になってきます。人々が持つ多様な価値観とそこに紐付く能力をどのように認め、活かしていくかになります。また、労働力不足を補うためには、多くの外国人にも活躍してもらう必要があります。そのためにも多くの人間を同じ指標で測るのではなく、それぞれの価値観を認めて能力を活かしていくすなわち協働する心を育てていかなければなりません。

 本校は、こういった能力を身につけさせるため、他校とは違った授業形態を実践しています。先生方から教えられる受動的なものでなく、自ら考え、学び、伝える。君たち自身が、主体的に取り組むものとなっています。中学校時代の考えを捨てて新たな学びに挑戦してください。

 本日より皆さんもその一員となりました。「何事にも本気で取り組む」このことを忘れないで、これから、学校内外で提供される様々なチャンスを生かしていい人生を掴んでほしいと思います。中学校時代から一段高い全くレベルの違うステージに皆さんは上がったことを自覚し、気持ちを切り替えてください。

 最後になりましたが、保護者の皆様におかれましては、重ねてご入学のお喜びを申し上げます。本日、大切なお子様を確かにお預かりいたしました。私たちは、本校の教育に誇りをもって全力で取り組んでおります。必ずや3年後たくましい大人の若者に成長させることをお約束いたします。生徒1人1人が夢をかなえ、大きな花を咲かせてほしいと強く思う次第です。そのためにも、ぜひ学校のことを100%信頼していただくとともに、家庭と学校との風通しを良くしながら、お子様の成長に向け、一緒に取り組んでいきたいと思いますので、何卒、ご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

 新入生の皆さんが「なりたい自分」を見つけてくれることを願い、私の式辞といたします。

 

 令和5年4月11日

  大分県立情報科学高等学校

   校 長 橋本 武晴