学校案内
大分県立情報科学高等学校 令和6年度卒業式 式辞
春の訪れを告げる梅のつぼみがほころび始め、穏やかな陽射しにも春の気配を感じる季節となりました。この良き日に、PTA会長 冨永様、学校評議員の上橋様、田野上様、同窓会事務局長 植野様をはじめ多くの保護者の皆様のご臨席を賜り、大分県立情報科学高等学校第35回卒業式が挙行できますことは、卒業生はもとより本校にとりましてもまことに光栄であり、心から感謝申し上げます。
ただいま、卒業証書を授与いたしました卒業生の皆さん、卒業おめでとう。本校は、昭和63年に、情報電子科、情報管理科、流通経済科の3科8学級で産声を上げました。創立当初は人気校でありましたが、年数が経つにつれ、いろいろと問題が生じ、また少子化も重なり、君たちが入学したときには、情報電子科、情報管理科、情報経営科の3科4学級の小規模学校となっていました。このままではなくなってしまうというところまで追い込まれた状況でした。そこで私は、君たちには事あるごとに「情科プライド」という言葉を伝え、情報科学で学ぶことに誇りを持たせたいと願い、それにふさわしい他校にない新しい学びの学校にするために大きく舵を切りました。そう、君たちはまさに新生情報科学に生まれ変わる真只中の学年だったのです。そのような中で、君たちは最後の3学科の生徒として立派に責任を果たし、伝統を生かしながら新たなことにも挑戦し、素晴らしい締めくくりをしてくれました。特に今年は、「見つめるものはもっと先の未来」をキャッチフレーズに掲げ、本校の学びを確立させました。その学びのスタイル「情科スタイル」は、他校と違い、「①生徒が主体的に取り組む。②複数の学科が、学科の枠にとらわれず融合する。③様々な企業や団体と連携し、常に最先端の学びを提供する。」というスタイルです。思い起こしてみてください。今年度、日本全国からどれだけの学校や教育委員会が視察に来られましたか。視察に来られた皆さんが、君たちの学ぶ姿勢や礼儀正しさに感銘を受け、口々に素晴らしい学校だと驚愕して帰られました。これこそ君たちが「情科プライド」を知らしめてくれたおかげだと私も本当にうれしく思いました。
君たちの活躍は、学びだけではなく、学校行事においても目を見張るものがありました。体育大会での勝敗を越えたフェアプレー。I校祭での、全校生徒の心を一つにした見事なパフォーマンス。君たちの団結力と若い力に感動し、年甲斐もなく涙があふれてきました。本当に素晴らしい学年でした。また進路を決めるときには、学年主任、担任をはじめ多くの先生方と遅くまで残って、履歴書作成や受験対策の勉強、面接練習と頑張っている姿に君たちの成長を見ることができました。
その他にも、部活動、ボランティア活動、外部団体主催の各種コンテストなど色々なことに常に中心となり積極的に頑張ってくれ、本当に感心させられました。
さて、これからの皆さんに伝えたいことがあります。それは、皆さんが「これからの日本を生きていく若者として、大きな責任と役割を担っている」ということです。日本は今、急速に変化している時代に直面しています。少子高齢化や社会構造の変化、さらには国際情勢の不安定さ、そしてテクノロジーの進化がもたらす新たな課題に直面しています。そのような時代において、若者一人ひとりが果たすべき役割は非常に大きいのです。最後に、私から、5つの訓示を行います。
一、 変化を恐れず、柔軟に対応する力を持つこと
皆さんが学んできた情報、工業、商業の分野は、いずれも急速に進化し続けている分野です。特に、テクノロジーの発展は日々新しい課題とチャンスを生み出しています。これからは、AI(人工知能)、ロボティクス、再生可能エネルギー、そして環境問題への取り組みが一層重要になるでしょう。その中で皆さんに求められるのは、変化に柔軟に対応し、絶えず学び続ける姿勢です。失敗を恐れず、挑戦し続けることが、これからの時代においては重要です。新しい技術や価値観に対して柔軟であり続け、時代の変化に適応する力を持ちましょう。
二、 自分の軸を持ち、社会に貢献する意識を持つこと
ただし、どんなに変化が激しくても、忘れてはいけないことがあります。それは、「自分自身の軸をしっかりと持つ」ということです。情報や技術が進化する中で、時には社会や企業の利益が個人の価値観と対立することもあるでしょう。そのような時、自分が何を大切にし、どのように社会に貢献できるかを考え、判断する力が必要です。皆さんがこれからの社会で働く中で、求められるのは単に知識やスキルだけでなく、社会的責任を意識し、誠実に行動することです。自分の仕事を通じて、社会や他者にどのように貢献できるのかを考え続けてください。
三、 多様性を尊重し、協力し合う力を育むこと
これからの社会では、多様性がますます重要なテーマとなります。日本においても、外国から来る人々との共生、ジェンダーや文化の違いを尊重することが求められる時代が進んでいます。皆さんがどんな場所で働き、どんな社会活動を行うにしても、他者との違いを受け入れ、理解し合う姿勢が大切です。チームワークや協力が不可欠な今、異なる背景を持つ人々と共に仕事をする機会が増えることでしょう。多様性を尊重し、それを力に変えることができる人こそが、これからの社会で活躍することができるのです。
四、 日本の未来を担う意識を持ち続けること
日本の未来は、皆さんの手の中にあります。少子高齢化、経済の成長鈍化、環境問題など、さまざまな課題に直面していますが、これを乗り越える力を持っているのは、まさに皆さん世代です。これからの日本を支えるのは、皆さんの努力と挑戦です。自分の人生を豊かにすることはもちろんですが、それと同時に、社会全体の発展に貢献する意識を持ち続けてください。日本だけでなく、世界全体が抱える課題に対しても、皆さんの持つ知識と技術で新たな解決策を見つけていくことが期待されているのです。
五、 失敗を恐れず、失敗から学ぶこと
そして、もう一つ大切なことがあります。それは、「失敗を恐れないこと」です。どんなに準備をしても、時には思い通りにいかないこともあります。大切なのは、その失敗から何を学び、次にどう活かすかです。失敗を恐れて何もしないことが一番の失敗です。どんな困難な状況でも前を向き、常に学び続ける姿勢を大切にしてください。失敗を乗り越えてこそ、皆さんは本当の意味で成長し、強くなります。
もう気づいたと思いますが、まさに、これからの力をつけてもらいたいがために全職員で君たちに与えた学びが「情科スタイル」なのです。そこで学んだ君たちはきっと先行き不透明な社会においても活躍してくれるものと信じています。
保護者の皆様方、本日は、お子様のご卒業本当におめでとうございます。本日に至るまで、本校の教育活動に深いご理解とご協力を賜りまして誠にありがとうございました。大切なお子様をお預かりし、学校としても精一杯取り組んでまいりました。どうか、今後とも、本校への変わらぬご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
結びに、卒業生の皆さんの今後ますますの成長と、本日ご臨席いただきました皆様方のご多幸とご発展を祈念し、式辞といたします。
卒業生、幸せになれ!
令和7年3月1日
大分県立情報科学高等学校
校長 橋本 武晴