入学式式辞

 校庭の桜の花が春風に舞う中、今年もまた、伝統ある情報科学高等学校に新入生を迎える季節が巡ってまいりました。ただ今、入学を許可しました皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんの入学を教職員並びに在校生と共に、心から歓迎いたします。そして、保護者の皆様方におかれましても、お子様のご入学に対し心よりお喜び申し上げます。
 また、本日は、PTA会長 冨永 希一様、学校評議員の上橋 一夫 様、同窓会事務局長 植野 恵玄 様をはじめ多くの保護者の方々のご臨席を賜り、かくも盛大に入学式を挙行できますことは、本校関係者一同大きな喜びでございます。厚くお礼申し上げます。
本校は、昭和六十三年に創立された、高度情報化社会を担っていける人材育成を目的とした、他の学校にはない大きな使命を持った学校です。
これからの情報化リーダーとして活躍できる人材育成を目標に「一歩先行く情報科学」をスローガンに掲げ日々の教育に邁進しているところであります。本日、皆さんも本校の一員に加わりました。本校入学に際し、人生で一度きりの高校時代に何をすればよいか、今から二つお話をいたします。
 一つ目は、「立志」、つまり「自分の志を立てよ」ということです。高校3年間で、将来自分は何を学ぶのか、どのような職業に就くのか、また、どのように生きていくのかを徹底的に考えて、進路先を決めることであります。人は誰しも、社会で果たすべき使命、役割があるといいます。皆さんは何にでもなれる可能性をもっていますが、実はまだ何者にもなっていない。この期待と不安が入り交じった矛盾に満ちた状態から抜け出して、一歩ずつ前進し、社会の中で自己の果たすべき使命と役割を見出していくことが、まさに皆さんの大きな課題です。したがって、この高校時代において自分の将来を真剣に考えてほしい。どんな職業を志すか、どんな生き方を志すか、たった一度の人生をかけて何を実現したいのかを徹底的に考え、人生を構想するのです。その思いは、結果として変わっていくかもしれませんが、高校時代に真剣に考え抜くことができたかどうかが、その後の人生を価値あるものにするための鍵を握っていると思います。
 それでは、今お話しした「自分の志を立てる」ためにどうすればよいか。それが二つ目のお話です。それは「本校の教育を100%信頼し、本気で取り組め」ということであります。私も本校に赴任して4年目を迎えました。本校を日本全国から注目される情報専門高校とし、君たちが将来、胸を張って「情報科学高校出身です。」といえる学校にしたいと考えています。そのためにも皆さんには「何事にも本気で取り組む」このことを忘れないでほしいと思っています。では、本校の今年の三つの重点目標を紹介します。
 一つめは「学科・教科を横断した広い視野での情報教育の実践」です。どこにもない、情報科学の学びのスタイルを体感し、確実に身につけてください。
 二つめは「人としてのマナーを身につけ、協働による新たな取り組みへの挑戦」です。互いの立場や特性を尊重しながら、どんなことにも協働で挑戦し、希望や感動を共有し合える学校にしましょう。
 三つめは「地域の課題を発見・解決する力を身につけ、郷土愛の醸成を図る」です。将来大分県のリーダーとして活躍できる人材になることをめざし、在学中から地域と関連するいろいろな取り組みを経験しましょう。
これから、学校内外で提供される様々なチャンスを生かしていい人生を掴んでほしいと思います。中学校時代からは全く次元の異なるステージに皆さんは一つ上がったことを自覚し、腹をくくってください。
 最後になりましたが、保護者の皆様におかれましては、重ねてご入学のお喜びを申し上げます。この15年間、様々なご苦労があったと存じますが、お子様をここまで立派にお育てになったことに対し、心より敬意を表します。本日、大切なお子様を確かにお預かりいたしました。私たちは、本校の教育に誇りをもって全力で取り組んでおります。必ずや3年後たくましい大人の若者に成長させることをお約束いたします。そのためにも、ぜひ学校のことを100%信頼していただくとともに、家庭と学校との風通しを良くしながら、お子様の成長に向け、一緒に取り組んでいきたいと思いますので、何卒、ご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、3年後卒業式の際、ここにいるすべての生徒・保護者の皆様が「本校にきて本当に良かったと」と思えることを心から願い、私の式辞といたします。


                                              令和6年 4月9日
                                               大分県立情報科学高等学校
                                               校 長 橋本 武晴