令和4年度卒業式 校長式辞

 あちらこちらに新しい命の息吹を感じるこの良き日に、PTA会長 波多野 徹様、PTA副会長 佐藤 武洋様、中門 智恵子様をはじめ多くの保護者の皆様のご臨席を賜り、大分県立情報科学高等学校、第33回卒業式が3年ぶりに在校生を臨席させ挙行できますことは、卒業生はもとより本校にとりましてもまことに光栄であり、心から感謝申し上げます。

 ただいま、卒業証書を授与いたしました卒業生の皆さん、卒業おめでとう。「情科プライド」を合言葉に本当に色々なことに挑戦してくれた1年間でした。4月当初に、今年は、withコロナで行事を止めない、みんなで乗り切ろうと話したところ、生徒会を中心に立派にやり遂げてくれました。体育祭での君たちの勝敗を越えたフェアプレー、I校祭での全校生徒の素晴らしいパフォーマンス。君たちの団結力と若い力に感動し、年甲斐もなく涙があふれてきました。本当に素晴らしい学年でした。また進路を決めるときには、学年主任、担任をはじめ多くの先生方と遅くまで残って、履歴書書きや、受験対策の勉強、面接練習と頑張っている姿に君たちの成長を見ることができました。

 その他にも、部活動、ボランティア活動など色々なことに常に中心となり積極的に頑張ってくれました。本当に素晴らしかったと思います。

 さて、みなさんが、これから生きていく社会はどんな風になっていくのでしょう。色々な本を読んで私なりに考えてみました。私は、これからは、「公益を重視する時代」になってほしい、そう思っています。コロナ禍での様々な制約の中、あらゆる場面で、あらゆる場所で、自分勝手な人、自己中心的な組織、自国中心主義な国が如実に表れてきました。コロナ以前もそうでしたが「自分さえよければよい」「誰かを貶(おとし)めてもよい」そんな世界がいくつもいくつも生まれてきたように感じます。それぞれの自己中心的な価値観にはそれぞれの理由があり、正当性の主張もあったことでしょう。個人が重視されすぎ、公共性が軽視されていたからともいえるかもしれません。その傾向が急速に広がり、コロナ禍においては如実に表れたとも言えます。バーチャルな世界における、匿名による「言葉の武器」は、独善的に他者の心を破壊させていく、その行き着く先はどうなるかと言えばおそらく破綻なのではないでしょうか。そして、自国中心主義の国が増えれば増えるほど、戦争という形で破綻が訪れていたことは、歴史書を見るまでもなく、みんなも知っていることだと思います。だからこそ、個を重視しすぎた世の中ではなく新たな価値観として「公益を重視する社会」が生まれるのではないかと思っています。「お互いに譲り合い」「お互いを思いやり」「時に我慢し、時に共有し」そんな価値観を持つことが評価され、世の中の仕組みとして「公益を推進すること」がインセンティブを生み出していく。そんな世の中になっていくと思うし、そんな時代をみんなで作っていかなければいけないと思います。

そんな新しい社会に船出をし、これからの大分、日本、世界を担っていくのが君たちです。君たちに私からの最後の訓示としてこんな人材になってほしいことを伝えます。

 

1 グローバル感覚のある人材

 産業のグローバル化に伴い、多様な地域で、様々な人々と共に仕事をしていくための国際性豊かな人材。自国文化や伝統理解に基づく自己認識や、地球環境・社会の調和や共存の視点で物事を考えられる温かい人になってください。

 

2 マネジメント力のある人材

 開発から商品・サービスまで、一連のバリューチェーンを俯瞰(ふかん)し、プロジェクトを遂行していくマネジメント力を有する人材。常に新たなトレンドをうまく取り入れ、変化を恐れず自ら市場を掘り起こすスキルを持った人になってください。

 

3 社会人基礎力の高い人材

 経験から習得した知識を現場で有効活用していくためには「課題発見・解決力」「コミュニケーション能力」など、社会人基礎力を向上させていく必要があります。「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」この三つの力を備えた人になってください。

 

今年のI校祭の時に君たちに送った歌の一節を用いて送別の言葉としたいと思います。

 未来を生きる僕が どんな自分になっていても

 足跡が 消えることはないから

 険しい坂道を 選んだその先には

 叶えたい夢が 僕を待っているから

 陽の当たる道を いつか歩く僕がいる

 その日を信じて 毎日を生きていく

卒業生、心から言う。おめでとう!そして、頑張れ!

最後に保護者の皆様方、本日は、お子様のご卒業本当におめでとうございます。本日に至るまで、本校の教育活動に深いご理解とご協力を賜りまして誠にありがとうございました。大切なお子様をお預かりし、学校としても精一杯取り組んでまいりましたが、行き届かなかった点も多々あったかと存じます。至らなかった点につきましては、この場をお借りしお詫び申し上げます。どうか、今後とも、本校への変わらぬご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

結びに、卒業生の皆さんの今後ますますの成長と、本日ご臨席いただきました皆様方のご多幸とご発展を祈念し、式辞といたします。

            令和5年3月1日

             大分県立情報科学高等学校

              校長 橋本 武晴