入学式 校長式辞

 式 辞

 校庭の桜の花が春風に舞う中、今年もまた伝統ある情報科学高等学校に新入生を迎える季節が巡ってまいりました。ただ今、入学を許可しました皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんの入学を教職員並びに在校生と共に、心から歓迎いたします。そして、保護者の皆様方におかれましても、お子様のご入学に対し心よりお喜び申し上げます。
 また本日は、PTA会長 冨永様、PTA副会長 中門様、富永様、岩本様、学校評議員 田野上様、同窓会事務局次長 小野様をはじめ多くの保護者の方々のご臨席を賜り、かくも盛大に入学式を挙行できますことは、本校関係者一同大きな喜びでございます。厚くお礼申し上げます。
 本校は、昭和63年に創立された、高度情報化社会を担っていける人材育成を目的とした、他の学校にはない大きな使命を持った学校です。これからの情報化リーダーとして活躍できる人材育成を目標に「見つめるものはもっと先の未来」をスローガンに掲げ日々の教育に邁進しているところであります。本日、皆さんも本校の一員に加わりました。本校入学に際し、人生で一度きりの高校時代に何を学びどういう人に成ってほしいか、今から3つお話をいたします。
 一つ目は、「なんでもやってみる精神と行動力を持った人」、私自身この学校の教育を行っていく中で、日々思うのは教育に正解はないし、だれも正解を当てられないということです。もちろん仮説も立てますし、過去の経験からおおよその推測もしますが、答えは一つではなく、教職員と一緒に自分たちなりの正解を作っていかなければなりません。正解がないということは、日々生きていく中で考えて考えぬくことだと思っています。そのためには、「なんでもやってみる精神と行動力」が必要となるのです。何もやらないと時代に置いて行かれて非常に弱い組織や個人になってしまいます。中学校時代までの勉強は、どの科目においてもテストの問題に対しての正解がありました。しかし、君たちが生きていく世界は、正解が一つではないし、正解が人によって変わるという世界です。そのような中で生きていくためには、自分がどうありたいかを考え、時には人と協力しながら、自分たちなりの答えを出していかないといけないのです。それを目指しているのが本校の学びであり、その「情科スタイル」を皆さんに身に付けてほしいのです。
 二つ目は、「変化に対して柔軟な心を持った人」、君たちが生きてきた十五年間の経験が活きることもあれば、それらを一度真っ新にして他者の考えを受けいれることも必要になってきます。柔軟性を持ち、色々な人のアイディアに耳を傾けながら自らの決断ができるようになってください。多様性が進んでいく中で、物事のとらえ方を増やしながら他者と協働できる人になってください。
 三つ目は、「物事に対して広い視野で全体をとらえられる人」、この変化の激しい時代において、俯瞰する力は自分を軌道修正する上でとても重要なスキルです。ただ、この力を習得するのはなかなか難しいのです。何事においても大事なのは、何かしらアクションを起こしたのちには振り返りが必要だということです。もちろん先生や友人からフィードバックをもらい、再度チャレンジすることも大事ですが、最も大事なのは自分自身を俯瞰して軌道修正できるかだと思います。さらに、物事や状況を大局的にとらえ、客観的に分析できる人になってください。
 本校の学びは、いま全国から注目されています。昨年度、北海道をはじめ日本全国各地から多くの方々が視察に来校されました。そして、「生徒が主体的に取り組む授業」、「学科・教科を横断した広い視野での情報教育の実践」、「企業や大学等と連携する教育」など、どこにもない、情報科学の学びのスタイルをみて驚愕して帰られました。君たちは、県下一の入試倍率を突破し、その教育を受けられる権利を得たのだから、これから思う存分頑張ってください。
 ただ一つだけ言っておきます。自分の人生を大切にしない者、他者の人生をないがしろにするものだけは、わたしは許しません。今日から「チーム情科」の一員として自分の人生を見つけるために精一杯頑張っていくことを期待しています。
 最後になりましたが、保護者の皆様におかれましては、重ねてご入学のお喜びを申し上げます。この15年間様々なご苦労があったと存じますが、お子様をここまで立派にお育てになったことに対し、心より敬意を表します。本日、大切なお子様を確かにお預かりいたしました。私たちは、本校の教育に誇りをもって全力で取り組んでおります。必ずや3年後たくましい大人の若者に成長させることをお約束いたします。そのためにも、ぜひ学校のことを100%信頼していただくとともに、家庭と学校との風通しを良くしながら、お子様の成長に向け、一緒に取り組んでいきたいと思いますので、何卒、ご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、3年後卒業式の際、ここにいるすべての生徒・保護者の皆様が「本校にきて本当に良かったと」と思えることを心から願い、私の式辞といたします。

                   令和7年4月9日
                    大分県立情報科学高等学校
                     校 長 橋本 武晴