【授業改善】「ゴケン授業」ってどんな字?

本校では毎年2回、1学期と2学期に「互見授業」を実施しています。文字通り授業者がお互いの授業を見合う、授業改善に係る取組の一つです。ただし、「ゴケン」をパソコンやスマートフォンで変換しようとしても、主なものは「護憲」「語圏」程度であり、「互見」は出てきません。学校現場での用語ということでしょうか、「板書」「校時」「移更期間」なども、使用される場面は学校限定のように感じます。

本校では「第1回互見授業」を令和7年6月9日(月)から2週間の予定で実施しました。授業参観にあたり、お願いしていることが3点あります。

①「参観者は授業者に事前に参観希望を伝え、授業者は教科書コピーや授業プリントを用意する」→ 手ぶらで漠然と見るのと、生徒が今何をやっているのかを理解して見るのとでは大違いです。生徒と同じ視点に立つことで、参観者の観察レベルがアップします。

②「参観する際には『授業観察シート』を利用し、記入後は授業者に渡す」→ 13の評価項目(4~1で評価)と感想やアドバイスのコメント欄で構成しています。

③「冒頭で【本時の目標(めあて)】を提示し、終わりに【振り返り(まとめ)】を行う」→ 「本時の目標を示しては生徒に答えを教えるようなものだ」という意見もあります。しかし、提示しなければ行き当たりばったりの授業になりがちです。生徒においても、今日、この50分で何をするのか、何を身に付けるのかを知っておかなければ「不安」に感じることでしょう。また、「目標を疑問形にする」という手法もあります。例えば、芥川龍之介の小説『羅生門』において、「下人はなぜ老婆の粗末な着物を奪ったのだろうか?」などです。疑問形にすると、生徒は自然とその答えを考えようとするものです。
 併せて【振り返り】も重要です。【振り返り】=「復習」と言えます。本校生の「学習習慣実態調査」によれば、自宅学習で「復習」まで行っている生徒は少数です。したがって、授業内で「短期の復習」を行うことで、内容理解・定着に効果があると考えます。

さて、私は今回、英語科の奥雅博教諭の「論理表現」の授業を参観しました。対象クラスはグリーン環境科3年です。私は奥教諭と一緒に勤務して4年目を迎えますが、授業を見るのは初めてです。本校が採用する「学びの基礎診断」の診断ツール『基礎力診断テスト(Benesse))』の結果からも、本校生は英語教科に苦手感を持っていることが明らかであるため、ベテランの奥教諭が授業でどのようなアプローチをしているか見てみたいと考えたからです。

 演習問題においては、奥教諭の生徒全員の学力を把握した個に応じたヒントやアドバイスが的確であり、生徒が集中かつ安心して比較的苦手感が強い英語の授業に参加している様子が見て取れました。また、奥教諭は身振り・手振りのジェスチャーも大きく、生徒の発言に対して、「いいな~」「Good!」「Excellent!」と常に肯定的に評価し、褒めて伸ばそうという姿勢が感じられました。授業者と生徒とが一体となった授業であり、両者の人柄も相俟って教室全体が温かい雰囲気に包まれており、参観を終えた私に心地よい余韻となって残っていました。

 奥教諭の授業を参観し、改めて感じたことは、「授業は、授業者と生徒の協働により成される」ということです。旧態依然の講義調、一方通行ではなく、「主体的・対話的で深い学び」を実現すべく、毎日の授業を改善していく必要があります。それは普通科校、専門校を問いません。本校の『授業改善』が、全ての授業者と生徒とによって推進されることを期待しています。文責:指導教諭(古原)