【授業改善】「生成AIも、友情出演動画もありました」~R6第2回授業研究会~

 令和6年11月15日(金)に「第2回校内授業研究会」を開催しました。研究授業は、農業科の羽野僚兵教諭によるグリーン環境科2年の『農業機械』、工業科の平田健太教諭による電子機械科2年の『機械設計』の二本立てです。なお、2日前の11月13日(水)には「事前説明会(研修会)」を行ない、授業者と参観者の共通理解を図ったうえで当日に臨みました。

 授業者2名は、共に自分が担任を務めるクラスでの研究授業です。本校では、該当クラスだけ残し、他クラスは下校させて研究授業を実施するスタイルです。「なぜ、自分たちだけ残されるのか、不公平だ!」「他のクラスは早く帰れていいなぁ…。」など、私もこれまで何度となく聞いてきた生徒のセリフです。しかし、今回はそのような発言はもちろん、気配さえ全く感じさせず、担任(授業者)と生徒との信頼関係が構築されていることがうかがえました。両クラスの生徒とも授業に向かう姿勢、取組態度がたいへん素晴らしく、また微笑ましくもありました。

 今回の科目は、『農業機械(農業)』と『機械設計(工業)』、「機械」という共通点があります。本校は農業、工業、商業、家庭の独立した4学科からなる専門高校です。このような科目名の共通性は、専門高校ならではと言えるでしょう。とはいえ、普通教科においても共通性がないわけではありません。例えば、本校の教育課程にもある『論理国語(国語)』と『論理・表現Ⅰ(英語)』などです。時間割変更黒板に、『論理』とだけ書かれると、生徒は国語なのか英語なのかわからず混乱を招きかねません。

 『農業機械』の【本時の目標】は、「除草機を使う際に適切な操作や、安全注意事項について思考を深め、適切に表現する」でした。除草機の定番は、通称「草刈り機」と呼ばれる「刈払機(かりばらいき)」です。羽野教諭は、パワーポイント、写真、動画、メタモジを駆使して、生徒の視覚を通して「わかる授業」に努めていました特に刈払機の扱いの正否を問う動画には、本校農業科職員数名も出演していたことにより、生徒たちは親しみを持って視聴し、安全な使用方法を獲得することができていました。

 『機械設計』の【本時の目標】は、「オイラーの式を用いて座屈荷重を求める」でした。「座屈(ざくつ)」は耳慣れない言葉であり、「オイラーの式(公式)」は、数学や物理でも用いられる難易度の高い公式です。生徒は理解できるのだろうかとの懸念をよそに、平田教諭は、ChatGPT、Mentimeter、MetaMoJi ClassRoom、Google Forms、パワーポイント等、様々な手段でアプローチすることで理解を促していました。私も参観していて、「難しい教材をわかりやすく教えるのが教員の力量なんだよ」と、昔、先輩教員に言われたことを思い出しました。

 二人の授業者には、ICTやアプリの効果的な活用に加えて、生徒の発言・解答を肯定的に評価し、ほめて伸ばそうとする教育理念が見て取れました。また、印象に残ったのは、授業終わりの号令で、グリーン環境科2年の委員長が、「羽野先生、本日の授業ありがとうございました!」と言ったことです。私はこれまで、個人名を入れて言われたことなど一度もありません。「○○先生、ありがとうございました!」と言われたなら、「よし、次の授業もこのクラスのために頑張ろう!」「しっかり教材研究をして臨もう!」となるに違いありません。「授業」は生徒と授業者との協働により成り立つものです。グリーン環境科2年の良き実践が、他クラス・他学年に伝播することを期待しています。

 授業後の「事後検討会」では、情報科学高校指導教諭(工業)の後藤憲二先生、三重総合高校指導教諭(農業)の足立伸也先生にご助言をいただきました。また、後藤憲二先生には、「未来創生事業(県教委)」「リーディングDXスクール(文科省)」の認定を受けて授業や校務、評価における生成AIの利活用の促進および研究を行っている情報科学高校の実践について講演をしていただくことで、学び多き充実した「第2回授業研究会」となりました。これらの学びを範として、全授業者が主体的に「授業改善」に取り組むことを期待しています。文責:指導教諭(古原)