【授業改善】「協働的な学び」~第1回授業研究会~

 7月6日(木)に、「第1回授業研究会」を開催しました。研究授業は、商業科の岡部憲明教諭によるビジネス管理科2年の商業『ビジネス法規』と、数学科の脇田靖彦教諭による生活デザイン科2年の数学『数学Ⅰ』の二本立てです。
 『ビジネス法規』の【本時の目標】は、「小切手の振り出しに必要な、必要記載事項の記入と記載事項の内容を理解する。また、不正防止のために線引き小切手の制度があることを理解する」でした。生徒は学習用の小切手に、金額や振出人の署名を書き込んだり押印したりして体裁を整え、タブレットを活用して電子黒板に投影し、作成条件や正否を確認しました。また、「チェックライター」という機械も用いての実践的な活動となりました。不正防止のために、手書きの場合には金額の頭に「金」、末尾に「円也」を付けたり、算用数字ではなく「壱弐参、伍、拾、仟、萬」などの漢数字を用いて金額を書き込んだりすることをはじめ、岡部教諭が持ち込んだ学習内容が現実的かつ興味深いものであったので、参観している教職員も生徒目線で小切手作成を試みている姿が印象的でした。
 『数学Ⅰ』の【本時の目標】は、「背理法について、パズルの中の数の法則を個人・グループで考察し、集団で言語活動をすることによって、『日常の事象の数学化』として背理法を理解し、活用することができる」でした。脇田教諭は『日常の事象の数学化』として、ループパズルを教材に選び、パソコンとタブレットの両方を使い分けながら説明したり、小型のホワイトボードに各班で知恵を出し合った考えを書かせて代表者に発表させたりするなど、多角的な授業を展開していました。脇田教諭は創意工夫した自作実物教材を用いた授業を頻繁に行っています。また、自分の名前を模したチャレンジ問題プリントを与えることで、生徒の学習意欲を喚起するとともに内容理解に務めています。今回の授業においても、脇田教諭の情熱に生徒がしっかり応えていることが見て取れました。
 両授業は2年生の隣り合う教室で行われたため、交互に参観することも可能であったので、見比べてみたところ、「本時の目標(めあて)の提示~振り返り(まとめ)」の実践ICT機器の効果的な活用などに加えて、『3つの共通点』に気づきました。

 〔その壱〕授業者と生徒とが一体となった授業
 〔その弐〕協働的な学びを主軸とする授業
 〔その参〕難しい教材を分かりやすく教える授業

 2日前に実施した「事前説明会(事前研)」において、『小切手』『背理法』の学習内容が難しいことを知り、生徒が理解できるか懸念されましたが、当日の授業では、とても分かりやすく、生徒が楽しそうに生き生きと取り組んでいることのギャップに驚きました。私が駆け出し教員の頃、「教科書の教材が生徒には難しすぎる」と宴席でこぼしたところ、「難しい教材を分かりやすく教えるのが教師の力量ですよ」とベテラン教員から諭されたことを思い出しました。その当時は理解できませんでしたが、岡部教諭・脇田教諭の授業を参観すると、まったくその通りだと感じました。
 授業後の「事後検討会」では、授業反省等だけでなく『協働的な学び』についても討議しました。「職員研修」では、本校担当のベネッセ九州支社の田中宏祐氏を招いて講演を行うことで、有意義な「第1回授業研究会」となりました。これらの学びを範として、全授業者が主体的に「授業改善」に取り組むことを期待しています。文責:指導教諭(古原)