学校案内
令和7年11月19日(木)5・6限に、大分県教育委員会高校教育課主催の「未来を拓く学校づくり事業」の一つであるPOLAさんの『自己発見プログラム』研修を本校3年生が行いました。3年生は通算5回目、これが高校生活最後の『自己発見プログラム』です。オープニングクイズで盛り上がった後、このプログラムの主軸である『価値観トランプ』に取り組みました。成長につれて自分の変化した価値観、今も変わらない価値観の両方を確認し、グループ内で共有しました。
続いての『レゴ®ブロックWork』では、「10年後のわたし」を想像して、レゴ作品で表現しました。童心に帰り、夢中になって制作しながら、配色や形にも自分の潜在的な志向や意識を含むことに気づくことができました。自分の作品をペアやグループで共有した後、「10年後のわたし」について、まずは「言葉」で、次に「文章」で表現しました。自分の思いを「言語化」して「可視化」する活動です。実体のない目に見えないものを、言葉や文章として目に見えるものに変換し、自分の考えや意見を的確に他者に伝達することは、卒業後の社会人や学生としての生活には大いに必要となるものです。
最後にタブレットでアンケートに回答し、高校生活の仕上げとなる『自己発見プログラム』を終えましたが、1・2年生とは異なる点があります。それは、就職や進学の進路決定済みの生徒が大多数の3年生に対して、各クラスに配置されたファシリテーターのBD(ビューティーディレクター)さんが、各自の経験を踏まえて「社会人の心構え」について話してくださったことです。先輩社会人からの説得力と熱意に溢れる助言・メッセージで、来年3月に母校を巣立つ3年生の背中を力強く押してくださいました。
今回のテーマは『10年後のわたし』でした。高校卒業後、いつの自分をイメージするのか、【10年】は最適だと考えます。私は卒業生から「同窓会」や「クラス会」に呼ばれたことが何度かあります。1年後、3年後、5年後などもありましたが、個々の卒業生において、それほどの変化はなく、「久しぶり!」という感覚も薄いものでした。しかし、10年以上では、公私ともに大きく変容し、人間的にも成長している卒業生に出会え、驚きと喜びを感じたことが多かったので、そのような意味でも【10年(後)】は望ましい設定だと感じました。
また、POLAさんは、研修後の振り返り(まとめ)として、毎回、Googleフォームでアンケートを取っています。アンケートには数項目ありますが、特筆すべき1項目を紹介します。なお、生徒は10段階で自己評価しています。
Q.「現時点で自分らしいと思える将来のイメージを持てていますか?」 ※( )内は平均値
【結果】
3年 第1回事前アンケート(5.9)→ 第1回事後アンケート(7.9)
2年 第1回事前アンケート(5.6)→ 第2回事後アンケート(7.3)
1年 第1回事前アンケート(5.9)→ 第2回事後アンケート(6.0)
上記のように、3年生の伸び率が最高(3年生34%UP、2年生30%UP、1年生2%UP)でした。1・2年生は今年2回実施しての結果ですが、3年生は今回の1回のみです。3年生の事前アンケートは前日に取りました。わずか1回の研修でありながら、これほどの伸び率であるとは驚きです。1年生が低く、3年生が高いことから、年次を追って回数を重ねるごとに伸長していることが見て取れます。これは『自己発見プログラム』が、自己発見、自己認識に至らしめる効果を有し、極めて完成度の高い研修であることの現れと言えるでしょう。
さて、本校は『自己発見プログラム』というネーミングですが、『自己探求プログラム』で実施している学校もあるようです。「探求」および「探究」は、近年もてはやされている言葉です。例えば、本校で採用している国語の教科書は『探求 論理国語(桐原書店)』と「探求」が付されています。また、「総合的な学習の時間(通称:総学)」に代わり、新学習指導要領によって、2022年度から「総合的な探究の時間(通称:総探)」が高校に導入されたように、課題を発見し、解決していく『探究的な学び』は、現代の生徒に必要な学習です。
対して「発見(英:discovery)」については、辞書・辞典に以下のように説明されています。
○観察的立場に在る者として初めてその物の存在に気付き、認識を深めること。例:「万有引力の発見」(「新明解国語辞典」より)
○まだ知られていなかったものを見つけ出すこと。また、わからなかった存在を見いだすこと。例:「新大陸の発見」(「デジタル大辞泉」より)
○それまでに人に知られていなかったもの、現象などをあらたに見つけること。初めて見出すこと。(「精選版 日本国語大辞典」より)
これは私見ですが、POLAさんの『対話型アート鑑賞』『喜怒哀楽ワーク』『脳内ツリーワーク』『自分フラッグ塗り絵』『価値観トランプ』『レゴ®ブロックWork』『コラージュワーク』『アイコンタクトゲーム』『みんなで質問ゲーム』『ことばで表現するお絵描きゲーム』『言葉の花束』『自分オリンピック』『未来への手紙』『究極の選択!クイズ』などのワークやゲームを通して、生徒が今まで気づかなかった自分の潜在的な価値観や志向性について知ること、これは『発見』がふさわしいと思っています。これまでの事後アンケートにも、「驚き」や「意外」という言葉が散見されます。昔、『世界ふしぎ発見!』という38年間続いたTBSの人気番組がありました。分野は異なりますが、それと重ねてもPOLAさんの当研修は、『発見』がピッタリだと思わすにいられません。
私は本校で『自己発見プログラム』を担当して4年目になります。これまでに『自己発見プログラム』について、本校ホームページに15本の記事を書きました。今年度では、7月16日、10月2日に記事が掲載されています。それらにも『自己発見プログラム』およびPOLAさんの素晴らしさを書いていますが、この4年間、私が常に(疑問に)思っていることがあります。それはPOLAさんが自社や商品のコマーシャル、宣伝を一切しないことです。確かにワークシートの表紙にはPOLAのロゴが青文字(通称:ポーラブルー)で印刷され、「POLA○○店の△△です。」と自己紹介はするものの、それで終わりです。私は進路指導主任を務めているので、校内で「職業講話」や「進路講演会」等を実施することもありますが、企業の担当者さまが、自社の紹介や製品の宣伝を力説されることも珍しくありません。近年、「ステマ(ステルスマーケティング)」という言葉も耳にしますが、POLAさんには無縁の表示であると感じます。
私はこの研修を担当していることもあり、当初は本校職員から同じ質問を受けることが何度もありました。その質問は、「なぜ化粧品会社がこんな研修をしているのか?」です。私がPOLAさんとお付き合いさせていただく中で、感じていることがあります。それは、POLAさんは「内面の自分磨き」を重んじているということです。外側はメイクやファッションで飾ることができますが、内面が美しくなければ「真の美」ではないという考えです。4年前、当研修には『美意識の種を探す』というフレーズが添えられていました。POLAさんは企業の意志として「外面・内面の総合美」を目指しているように感じます。また、現在、私の手元に今回のワークシートがあります。表紙には『未来を照らす自分発見プログラム~MeLight~』と書かれています。「未来」「自分を照らす」と「MeLight(ミーライト)」を掛けていると解釈しています。
毎回の『自己発見プログラム』の特徴として、①生徒が楽しみにしている ②生徒の笑顔が絶えない ③生徒に満足感、充実感がある が挙げられます。50分×2コマの研修ですが、あっという間に時間が経ってしまいます。POLAさんの『自己発見プログラム』は、生徒が自己認識を深め、アイデンティティの確立に至るには最善・最適の比類なき研修だと確信します。
今年度の実施は全国では東京都と大分県の一都一県、県内では本校、日出総合高校、三重総合高校の合計3校であり、4年目を迎えたのは全国では本校のみです。昨年度同回の記事のタイトルに、「THE FINAL」を添えましたが、今回は「Forever」としました。これからも『自己発見プログラム』が本校のみならず、県内外の多くの学校で実施されることを期待してやみません。文責:指導教諭(古原)









