【授業改善】2024『自己発見プログラム』by POLA THE FINAL

 11月19日(火)5・6限に、3年生が「自己発見プログラム」を行いました。3年生は通算5回目、これが最後の「自己発見プログラム」です。オープニングクイズで盛り上がった後、毎年好評を博している『価値観トランプ』に取り組みました。成長につれて自分の変化した価値観、今も変わらない価値観の両方を確認し、グループ内で共有しました。
 続いての『レゴ®ブロックWork』では、「10年後のわたし」を想像して、レゴ作品で表現しました。童心に帰り、夢中になって制作しながら、配色や形にも自分の潜在的な志向や意識を含むことに気づくことができました。自分の作品をペアやグループで共有した後、「10年後のわたし」を文章で表現しました。自分の思いを「言語化」して「可視化」する活動です。実体のない目に見えないものを、言葉や文章として目に見えるものに変換する有意味な行為であり、考えや意見を的確に他者に伝達することは、卒業後の社会人や学生としての生活には大いに必要となるものです。
 最後にタブレットでアンケートに回答し、高校生活の仕上げとなる「自己発見プログラム」を終えましたが、1・2年生とは異なる点があります。それは、就職や進学の進路決定済みの生徒が大多数の3年生に対して、各クラスに配置されたファシリテーターのBD(ビューティーディレクター)さんが、各自の経験を踏まえて「社会人の心構え」について話してくださったことです。先輩社会人からの説得力と熱意に溢れる助言・メッセージにより、来年3月に母校を巣立つ3年生の背中を力強く押してくださいました。

 当日は3年生の日でしたが、2年グリーン環境科(農業科)も3・4限にプログラムを実施しました。実は、インターンシップ受入企業様の関係で、このクラスのみ2年生第2回研修(10/23)が実施できませんでした。2年生第2回も素晴らしい研修内容(10/29本校HP参照)だったので、何とか受講させてやりたいと思い、POLAさんにご相談申し上げたところ、快く引き受けてくださり、BDの平田さんが朝早くお一人で来校されてプログラムを実施し、大いに盛り上がった研修となりました。「自分たち1クラスのためにわざわざ来てくださった平田さんに対し、クラスの生徒全員が感想やお礼の文章を書いた」とクラス担任の羽野教諭に聞きましたので、以下に一部を紹介します。

Aさん あの活動をしていると友達との仲が深まっているように感じました。自分のことも知れて、友達との距離も縮めることができて、良い授業だったなと思いました。
Bさん 友達や平田さんと交流すると、自分ってこういう人なんだなとわかってきました。友達のいいところを書くと、「ありがとう」と言ってくれて、とても嬉しい気持ちになりました。
Cさん 人の意見を否定しないことの大切さがわかりました。今後もこの活動で学んだことや新たに知ったことなどを活かせるような学校生活を歩んでいきたいなと考えました。
Dさん 遠いところから来てくださり、ありがとうございます。今回の自己発見プログラムで、また新しい人生、日々を過ごせると思います。
Eさん 遠く離れた石川県から来てくださり、こんなにも楽しい授業をしてくださり、とても嬉しかったです。おかげで自分はどんな人なのか、少しではありますがわかってきました。
Fさん 私たちのために遠方から来てくださり、本当にありがとうございました。3年後の自分へお手紙を書いたのが楽しかったです。今の自分じゃないと言えないこともあるので、書く時間が取れて良かったです。楽しい時間をありがとうございました。次も楽しみにしています。

 上記の生徒の言葉からも、「自己発見プログラム」は、自分のことを【知る】取組だと言えるのではないでしょうか。それに類することを先人も述べています。哲学の父と呼ばれるソクラテスは「無知の知」を提唱しました。「無知であることを知っていること」が重要であり、「自分がいかにわかっていないかを自覚せよ」ということです。また、古代中国の諸子百家、儒家の孔子の言行録である『論語』にも以下の記述があります。

「汝に之を知るを誨(おし)えんか。之を知るを之を知ると為し、知らざるを知らずとせよ。是れ知るなり。」(現代語訳:お前に「これを知る」ということを教えよう。知っていることを知っていることとして、知らないことは知らないこととしなさい。これが知るということだ。

 「知らない」ということの自覚が、「知る」「知ろう」「知りたい」という意識変化をもたらします。つまり、「自己発見プログラム」は先人の教え、理にかなった『自己知』へのアプローチ方法だと私は感じています。

 私は先日、「独立行政法人教職員支援機構次世代型教職員研修開発センター」の方による「探究的な学び」についての講義を拝聴する機会を得ました。説明を伺いながら「『探究』には『自己発見プログラム』と共通する面が多い」と感じました。近年、日本でも、また海外でも重んじられている探究的な学習ですが、「自己発見プログラム」は、強く意識せずとも生徒が【自然に】探究できている研修だと考えます。

 POLAさんの「自己発見プログラム」研修は、大分県教育委員会高校教育課主催の『未来を拓く学校づくり事業』の一つです。県内では昨年度に引き続き、本校と日出総合高校、三重総合高校の合計3校が実施対象校に選ばれました。POLAさんによれば「今年度実施しているのは東京都と大分県の一都一県、3年目を迎えるのは全国でも宇佐産業科学高校のみ」とのことです。POLAさんの「自己発見プログラム」は、生徒が自己認識を深め、アイデンティティの確立に至るには最善・最適の研修であり、『探究的な学び』にも通ずるものです。上記に紹介した2年グリーン環境科の最後の生徒の言葉に「次も楽しみにしています」とあるように、本校1・2年生の多くが同様の気持ちを抱いていることでしょう。この記事のタイトルに「THE FINAL」を添えましたが、これは「今年度最後の」という意味であり、「自己発見プログラム」がこれからも本校や県内他校で実施されることを期待してやみません。 文責:指導教諭(古原)