学校案内
英語にリスニングがあるように、日本語を聞き取って書いたり、その内容をもとにした問いに答えたりする「日本語リスニング」があります。日本での就労を希望する外国人や留学生向けのものもありますが、高校では『国語表現』という科目などでも扱います。
今回、国語の教材に、平安時代の美しい女性が登場しました。そこで、「日本語リスニング」の手法で、「聞き書き」と「聞き描き」を授業でやってみました。テーマは【平安時代の美人像】です。まず、授業プリントに示した以下の項目について、私が口頭で発表し、生徒は聞き取った文言を、できるだけ適切な漢字で書き取りました。
【項目】①顔立ち ②髪型 ③髪の色 ④肌の色 ⑤眉 ⑥目 ⑦口
例えば、『①顔立ち』では、「うりざねがお」と発表しました。聞いたことはあっても、「うりざね」の漢字表記(変換)に悩む生徒もいました。
『③髪の色』は、「(髪は)からすのぬればいろ」です。「烏、カラス、からす」と分かれましたが、「ぬれば」の「ば」が「羽」であることに気づく生徒は多くいました。
『⑦口』は、「おちょぼぐち」です。これは分かりやすかったようでした。
7項目の伝達の後、電子黒板で望ましい表記を確認しました。前述の①③⑦では、「瓜実顔」、「烏の濡れ羽色」、「おちょぼ口」を、それぞれ解答例として提示しました。
次に、聞き取った文言をもとにして、【平安時代の美人像】を各自で描きました。「顔立ち(輪郭)」、「髪」の順に描き進めながらも、描いていて気になったのか、「鼻は?」「耳は?」と尋ねる生徒もいました。また、「目隠しで目鼻や口を並べる正月の遊びの女性の顔に似ている」と口にするものの、『福笑い』という名称は出て来ませんでした。それでも楽しそうに作画しており、「自分の作品を発表したい人!」と言うと、ほぼ全員が名乗りをあげたクラスもあったほどです。希望した生徒は、タブレットで電子黒板に投影し、「展覧会?」を行いました。その前に、クレオパトラ・楊貴妃とともに『世界三大美女』の一人とされる「小野小町」の肖像画を見本として投影し、各部のポイントを押さえました。生徒は概ね似た顔を描いていましたが、感心・称賛したり、失笑したりと、盛り上がっての発表会となりました。
さて、私がよく授業研究の参考にしているサイトに、『ポーラ文化研究所』があります。この存在はネットで調べものをしているときに偶然知りました。ポーラといえば、大分県教育委員会主催行事「未来を拓く学校づくり事業」の一環として、昨年から「自己発見プログラム研修」で本校がお世話になっている企業です。『ポーラ文化研究所』では、文化的な見地から、化粧・髪型の変遷や当時の風俗等について、具体的データや調査結果なども提示しながら学術的に探求しており、興味深く有益な話題の宝庫です。今回の授業においても、大いに参考にさせていただきました。この駄文をお読みの皆様も、一度『ポーラ文化研究所』をのぞいてみることをお勧めします。
生徒作品の一部をご紹介します。