【グリーン環境科 × 国語科】僕は「農場特派員」!(続編)

 7月21日(金)学校HP掲載記事、【グリーン環境科】僕は「農場特派員」! において、寺下幸太朗くん(グリーン環境科2年/駅川中出身)の文と写真によるアイガモのヒナの可愛さとハスの花の美しさをお伝えしました。ヒナを水田に放つ時期、ハスの開花時期がちょうど今頃だったために、自称「農場特派員」の寺下くんは、両者の紹介を思い立ったのでしょうが、「ヒナとハス」で思い出したことがあります。それは昨年度、1年国語『言語文化』の授業で、清少納言の『枕草子』第百四十五段「うつくしきもの」を扱ったことです。古語の形容詞「うつくし」は「かわいい」という意味です。「うつくしきもの」の章段では、筆者が、自分にとっての「かわいいもの」を取り上げています。以下の本文をご覧ください。

                    『枕草子』第百四十五段「うつくしきもの」

 ①瓜にかきたるちごの顔。
②雀の子の、ねずなきするにをどりくる。
③二つ三つばかりなるちごの、いそぎてはひくる道にいとちひさき塵のありけるを、目ざとに見つけて、いとをかしげなるおよびにとらへて、大人などにみせたる、いとうつくし。
④頭はあまそぎなるちごの、目に髪のおほへるを、かきはやらで、うちかたぶきて物など見たるも、うつくし。
⑤おほきにはあらぬ殿上童の、装束きたてられてありくもうつくし。
⑥をかしげなるちごの、あからさまにいだきて、あそばしうつくしむほどに、かひつきて寝たる、いとらうたし。
⑦雛の調度。
❽蓮の浮葉のいとちひさきを、池よりとりあげたる。
⑨葵のいとちひさき。なにもなにも、ちひさきものはみなうつくし。
⑩いみじうしろく肥へたるちごの、二つばかりなるが、二藍のうすものなど、衣ながにて、たすき結ひたるがはひ出でたるも、また、みじかきが袖がちなるきてありくも、みなうつくし。
⑪八つ九つ十ばかりなどの男児の、声はをさなげにて文読みたる、いとうつくし。
⓬にはとりの雛の、足高に、しろうをかしげに衣みじかなるさまして、ひよひよと、かしがましうなきて、人のしりさきに立ちてありくも、をかし。
⑬また、をやのともにつれて、たちて走るも、みなうつくし。
⑭雁の子。
⑮瑠璃の壺。

 ❽には「蓮(ハス)」が、⓬には「雛(ヒナ)」が登場します。偶々(たまたま)と言えばそれまでですが、寺下君に尋ねてみると、意図的ではないながらも既習内容を確実に理解し、覚えてくれていました。当時、授業後に「自分の身の回りにある、『うつくし』と考えるもの」について各自に考えさせたところ、寺下君は『仔牛』と答えていました。(2023年03月23日 学校HP掲載 【言語文化】ワタシの「うつくしきもの」は『○○』!)参照。
 寺下君は農業の4類型(作物、果樹、畜産、施設園芸)では、「畜産」に所属していますが、「子牛」ではなく『仔牛』と表記する生徒がいることに驚きました。寺下君は語彙力が豊富であるうえに、農業の専門知識を身に付けようと不断の努力を重ねています。前述のアイガモは、本来はコメ作り、アイガモ農法に用いるため、「作物」の管轄です。「寺下君は畜産類型だが、よくアイガモを見に来てくれている」と、作物担当の日野貴文先生は話しています。「農業」という教科内のことですが、『類型横断的な学び』とでも呼びたくなります。寺下君の献身的な見守りとアイガモのの頑張りにより、今年も上質のアイガモ米が栽培、収穫されることを確信しています。文責:国語科(古原)