
校長室

式 辞
豊後水道へと広がる津久見湾と、三方にそびえる彦岳、姫岳そして鎮南山に囲まれた、みかんとセメントの町、津久見の地にも桜が咲き誇り、春爛漫のこの良き日に、令和2年度第9回大分県立津久見高等学校入学式を挙行できますことは、校長として大きな喜びであります。しかしながら、先月からの新型コロナウイルス感染防止対策のなかでの入学式となり、規模の縮小や時間を短縮しての実施となったのは残念なところであります。
先ほど、本校への入学を許可しました、158名の新入生の皆さん、入学おめでとう。皆さんの入学を職員並びに在校生一同、心から祝福し歓迎いたします。
津久見高校は、昭和14年からの約75年の伝統と歴史を持ち、そして平成24年には旧臼杵商業高校と海洋科学高校との発展的統合により、地域に愛され、地域に貢献する学校を目指し、新津久見高校として、普通科、工業科そして商業科をもつ学校になり、新たな歴史がスタートしました。平成29年に海洋科学高校が独立いたしましたが、新たな歩みは今年度で9年目となり、いよいよ来年度は10周年を迎えます。校訓は「至誠・感動・進取」の3つを掲げています。「至誠」とは、きわめて誠実という意味で、「感動」は心を揺さぶり、さらに心を豊かにし、そして人にも影響を与えること、そして「進取」は、自ら進んで物事に取り組むという意味です。
以上のような、「至誠・感動・進取」の校訓を入学にあたっての心構えとしてください。
ここで、新入生の皆さんが、高校生活を送るにあたり、私から3つの提言をします。まず、一つ目は「基礎学力そして知識と専門性」です。学力は基礎学力の基盤の上に知識と専門性が積み重ねられていきます。基礎がしっかりしていないと、いくら積み重ねてもすぐ崩れてしまうのは容易に想像できることでしょう。義務教育だった小・中学校のわからないことを学びなおしてください。そしてその上に、幅広い知識そして専門性を3年間で身に付けてください。普通科では、幅広い知識と進学に向けた取り組みを進め、工業科と商業科は専門性を磨き、社会ではその専門性を生かし、課題を解決し、さらに新しいことに挑戦していくことを期待いたします。
二つ目は、「人間性」です。皆さんが社会人となり、人と一緒に仕事をしていくためには人間性の向上が必要となります。現在、情報化社会が進んでいますが、人と関わらなくていい職業はほとんどありません。多様な人を認め、受け入れる経験がこれから大切です。いろいろな中学から来た人たちと、3年間同じクラスで一緒に高校生活を送ることになります。クラスの一人ひとりを認め受け入れ、協力して授業や学校行事に取り組んでください。決して、「自分とは違うから、自分とは合わないから」と言って、絶対にからかったりいじめたり、することのないようにしなければなりません。高校生となり、今までの未熟な、わがままな自分から、変わるきっかけにしてください。
三つ目は「部活動」です。部活動は、高校生活の中で大きなウエイトを占めることになります。さらに部活動で養われた体力や忍耐力、そして精神力は、将来に皆さんが社会で生き抜くための大きな力となることでしょう。本校には、たくさんの部活動があります。自分が輝くことのできる部活動を選択し、部活動の中で心と体とそして技術を鍛えてください。
以上のことは、皆さんが、先の見えない混とんとした社会で生きていくために必要な力です。「基礎学力と知識および専門性」、「人間性」そして「部活動」、この3つを高校時代のキーワードとして取り組んでください。
次に、保護者の方々に一言申し上げます。お子様のご入学、誠におめでとうございます。私ども教職員は3年後にお子様が進路目標を達成できるように、また社会に出て必要とされる人材になりますよう、誠心誠意、教育に取り組む所存です。そこで、保護者の皆様にお願いがあります。
高校生活では、いろいろな場面において、お子様は悩み、考え、決断しなければなりません。その壁にぶち当たらない生徒はいません。誰もが通る道です。その過程を理解し困難を乗り越えた先に成長があります。人として、またひとつ大きくなれるものです。お子様が困難を乗り越えるために苦しんでいる姿を見て、手を出したくなることと思いますが、本校の教育目標や教育方針をご理解していただきまして、「自ら人生を切り拓く、たくましい人間を育成する」ための成長を見守っていただきたいと思います。なお、学校の様子は、ホームページやフェイスブックやその他、いろいろな手段で、保護者の皆様にお伝えしていきたいと考えています。何卒、ご理解とご協力をいただきますよう、お願いいたします。
結びに、津久見高校は「輝く生徒」「きれいな学校づくり」の2つを目指す学校像としてお示しするとともに、ご多忙の中、ここにご参集の皆様方のご多幸を祈念して、式辞といたします。
令和2年4月9日
大分県立津久見高等学校
校 長 日永 達也