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2学期終業式 式辞

いよいよ今日は2学期の終業式でクリスマスイブ。今年も残すところわずかとなりました。皆さんにとってこの一年は、どんな一年だったでしょうか。
 今年は、昭和100年、そして戦後80年ということで歴史を振り返りながら日本各地で平和の尊さや未来への希望を考える機会がたくさんあったように思えます。本校でも8月の平和授業で原爆・交流証言講話者の中村幸博さんから原爆の恐ろしさや戦争の悲惨さをお聞きし、平和への思いを強くしたと思います。一方校内では、様々な学校行事をとおして君たちの輝く姿を見ることが得きました。目標に向かって一生懸命に努力したこと、友達と協力して成し遂げたこと、うまくいかずに悔しい思いをしたことなど、いろいろな経験があったと思います。その一つひとつが、皆さんの成長の確かな糧となっていると信じています。
 さて、先日調べた今年日本で話題となったスポーツベスト5は、サッカー日本代表のワールドカップ出場とブラジル代表からの勝利、大谷翔平選手・山本由伸投手・佐々木朗希投手のが活躍したドジャースのワールドシリーズ連覇、昭和の大スターミスタープロ野球と言われた長嶋茂雄さんの逝去、日本で開催された世界陸上とデフリンピックが挙げられてれいました。その中で、私が注目をしたのは11月に東京で開催された国際的なスポーツ大会「デフリンピック」です。これまで障がい者のスポーツ大会と言えば「パラリンピック」が有名であり、皆さんも聞いたことがあると思います。それに対して「デフリンピック」って知っていますか?保健体育の教員として恥ずかしいことですが私は知りませんでした。日本で初めての開催となるため、私を含め知らない人が多いと思いますがこの大会は1924年パリで第1回が開催され、今年で100周年となる歴史のある大会です。「デフ(Deaf)」とは「耳が聞こえない」という意味です。「耳が聞こえない・聞こえにくい」という聴覚に障がいを持つアスリートたちが世界一を目指して競い合うこの大会で、日本代表選手たちは過去最多となる102個のメダルを獲得する大活躍を見せました。このデフリンピックを見ていて、デフリンピックが私たちに教えてくれた大切なメッセージについて、少しお話ししたいと思います。
 デフリンピックの競技では、私たちが普段当たり前に使っている「音」、その「音」がない世界があります。例えば、 陸上や水泳のスタートでは、ピストルの音ではなく、光るランプや大きな旗(フラッグ)が合図として使われます。また、サッカーやラグビーの審判は笛の代わりに旗を振り、選手たちはアイコンタクトや手話で連携を取り合います。選手たちは、「耳が聞こえない・聞こえにくい」という特性を、技術や工夫によって乗り越え、最高のパフォーマンスを発揮していました。耳で聞くことができない代わりに、目で光や旗をしっかりと捉えて、一斉にスタートを切るのです。その姿は、「不可能はない」ということを証明してくれました。
そして、今大会で特に感動を呼んだのが、新しい応援のカタチ「サインエール」です。【動画:https://www.youtube.com/watch?v=Xg2S-X65qgI〔出典 TOKIO FORWARD 2025〕】
声援が届かない選手たちに思いを伝えるため、観客は手の動きや体の表現を使いました。拍手の代わりに、両手を高く上げてヒラヒラと振る「きこえない拍手(デフ・クラップ)」が会場中に広がりました。
「サインエール」は、声を出さなくても、想いは確かに伝わることを示しました。この「見える応援」は、言語や国境、そして聞こえる・聞こえないの壁を超えて、会場にいるすべての人々の心を一つにしたのです。
 デフリンピックは終了しましたが、この大会が残してくれたメッセージは、今日の学校生活、そして未来の社会に生き続けると思います。それは、「多様な人々の存在を認め合い、共に生きる社会を創る」ということです。計算が得意な人、絵を描くのが好きな人、すぐにみんなと仲良くなれる人。目が見える人、耳が聞こえる人など、障がいの有無にかかわらず、私たち一人ひとりの「違い」は個性であり、これを否定するのではなく、「尊重し合う」ことが大切だということです。
 相手の立場に立って考える「想像力」を持ちましょう。そして、「サインエール」が教えてくれたように、困っている人がいたら、どのようにすれば助けになれるか、工夫して行動してみることです。皆さんの優しい眼差しや、ちょっとした手助けの行動が、誰かの「目に見えない壁」を取り除く力になります。皆さんが持っている「思いやり」を「見えるカタチ」で伝える工夫をしてみてください。
デフリンピックの選手たちのように、自分の可能性を信じて、そしてお互いの個性を認め合い、支え合いながら、3学期の学校生活も元気に、前向きに取り組んでいきましょう。
 それでは、良いクリスマス、年末を過ごして、希望にあふれる新しい年を迎えてください。

佐伯豊南高校   

校長 花田 修