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校長室から②(第12回入学式)

 4月9日(水)、春の暖かい日差しの中、第12回の入学式を挙行しました。新入生128名が佐伯豊南高校の仲間入りをしました。新入生は目をキラキラと輝かせていました。充実した3年間を送ってほしいと思います。

式の中で新入生に贈った私の式辞を全文掲載いたします。

白銀きらめく紺碧の広がり。かぎりを知らず伸びゆく空を映す。
本校の校歌に歌われている一節がまさに春の訪れを感じさせてくれます。
番匠の水面がまぶしい春のこの佳き日に、ご来賓、保護者の方々のご臨席を賜り、大分県立佐伯豊南高等学校第12回入学式を挙行できますことは、新入生はもとより、学校にとりまして誠に慶ばしいことであります。

 ただ今、入学を許可された第12期生 128名の皆さん、入学おめでとうございます。在校生、教職員一同、心から歓迎いたします。
 本校は、平成26年に佐伯鶴岡高校と佐伯豊南高校の特色を活かしながら、発展的に統合された学校で、全国でも類のない農業科・工業科・福祉科・総合学科の4学科を有する総合選択制の学校であります。開校以来、地域の方々に支えられながら、地域を学びの場とし、地域や社会全体の持続的発展に貢献できる人の育成を目指して、様々な教育活動に取り組んでいる学校です。

新入生の皆さんに「第一歩」という詩を贈ります。

十里の旅の第一歩、百里の旅の第一歩、
同じ一歩でも覚悟が違う。
三笠山に登る第一歩、富士山に登る第一歩、
同じ一歩でも覚悟が違う。
どこまで行くつもりか、どこまで登るつもりか。
目標が、その日その日を支配する。

 これは、大正時代の社会教育者、後藤静香(ごとう せいこう)さんの詩で、物事を成し遂げるには確固たる覚悟としっかりとした準備をすることの大切さと、明確な目標を持つこと、高い志を持つことで日々が充実するということを私たちに示してくれています。
 そして、その詩の『目標が、その日その日を支配する』という一節が先日、第97回選抜高校野球大会で優勝した横浜高校の部室に飾られています。横浜高校といえばメジャーリーグ、西武ライオンズで活躍した松坂大輔さんをはじめ多くのメジャーリーガーや日本プロ野球選手を輩出している全国屈指の野球強豪校です。その横浜高校では全国各地から優秀な選手が集められ、日々熾烈なレギュラー争いが繰り広げられています。「甲子園出場」という目標は彼らにとっては大前提で、「日本一」になるため練習をしています。先ほどの詩でいえば「甲子園を目指すチームの第一歩、日本一を目指すチームの第一歩」同じ一歩でも覚悟が違う。ということになるのでしょうか。皆さんと同じ15歳の少年が、親元を離れ野球にかける、まさに強い「覚悟」をもって集まっているのです。そして、よい環境で日本一になるための準備を行っているのです。ですから、今回の優勝は偶然ではなく、彼らにとっては必然だといえるのかもしれません。
しかし、そのような環境や資質・能力を持った者しか「日本一」になれないのでしょうか。そのようなことはありません。佐伯という地方都市から「日本一」になることは可能なのです。それを証明しているのが、本校工業部です。本校工業部は、「高校生ロボット相撲全国大会」において、昨年まで3年連続で「日本一」に輝いています。決して恵まれた環境ではありませんが、「日本一」という目標に向けての確固たる「覚悟」と周到な「準備」をもって全国各地の予選200チームから勝ちぬいた32チームと戦って頂点に立ったのです。1年目より2年目、2年目より3年目の部員の方が連覇のプレッシャーは大きかったと思いますが、見事に強い「覚悟」をもって日本一を達成してくれました。
 また、大会とは違いますが本校福祉科に入学した生徒は国家資格である「介護福祉士」の資格取得を目標にしています。この「介護福祉士」の国家試験は一般の社会人も含め、その合格率は昨年度78.3%で、例年80%前後と非常に狭き門となっています。しかし、本校福祉科の生徒は「必ず介護福祉士の資格を取る」という強い覚悟をもって、日々の授業や実習に取り組みながら、福祉科の先生方と3年かけて準備をし、3年連続で全員合格という偉業を成し遂げました。まさに、高い志を持つことで日々を充実させた結果だと思います。
 このように入学時から明確な目標を持っている人は、自分の目標達成に向けて全力を尽くして欲しいと思います。我々教職員は全力で皆さんを支えます。
 一方で、明確な目標を今はまだ持てていない人がいると思います。でも、それは、別に悪いことではありません。そのような先輩は、これまでにもたくさんいました。しかし、ここ佐伯豊南高校では、ワクワク・ドキドキするような授業や探究学習、部活動など魅力的なの活動を先生方が準備してくれています。そして、そのような活動を行いながら自分なりの目標を見つけることができた先輩もたくさんいるのです。例えば、今年3月に卒業した食農ビジネス科の野下花音さんは、入学時、特に目標を持っていなかったそうです。彼女は授業で「食」について学びつつ、入部した家庭部で調理したり、料理のレシピを考えたりするのが楽しく、その成果として2年次と3年次に「高校生対抗レシピコンテスト」に応募しました。結果は、2年連続で1次、2次審査を勝ち抜き最終審査の全国大会へ出場しました。まさに、学びと活動から新たな自分を見つけることができたのです。そのような体験を通して彼女は、入学時に明確ではなかった目標を持ち、卒業式の答辞において「私の将来の目標は管理栄養士になることです。そのために大学に進学します。」と堂々と語ってくれました。  
今、目標がないあなた、何も心配することはありません。私たち教職員は全力であなたが目標を見つける手伝いをします。ただ、一つだけ、お願いをします。それは、「目標を見つける」という覚悟を持ってください。そうすれば、あなたは3年間で、必ず自分の目標と出会うことができます。豊南高校での生活を楽しみしていてください。

 結びになりますが、保護者の皆様、本日はお子様のご入学、誠におめでとうございます。教職員一同、全力を挙げて、保護者の皆様や地域の方々から信頼される学校づくり、地域に貢献できる人づくりに向けて、教育活動を推進してまいります。是非とも本校の教育に対し、ご理解とご協力・ご支援をお願い申し上げます。
 新入生の皆さんが、今日の喜びを忘れることなく、実り多き高校生活を送ることを祈念し、式辞といたします。


令和7年4月9日
大分県立佐伯豊南高等学校
校 長 花田 修