生きる力に満ちた心身共に調和のとれた人間育成

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校長室だより(4)                       3年生介護実習 ~うまくできる方がいいとは限らない~

 本校福祉科の生徒は3年間で58日の現場実習を行います。現在3年生が、5月と7月に合わせて22日間の実習に取り組んでいます。
 私は5月の実習期間中に、福祉科の先生方と一緒に実習先の施設を訪問しました。どの施設でも、本校生徒が積極的に入浴介助や食事介助に取り組み、また、利用者の方々に寄り添ったコミュニケーションを心がけようとする姿にお褒めの言葉をいただきました。
 私は施設で生徒と福祉科教員のミーティングを見学し、生徒が記録した実習日誌を読ませてもらいました。その中で、ある生徒が記していた言葉に、はっと胸を衝かれました。

 「食事介助の際、私がまだ慣れていなくてたどたどしかった時には、スプーンで口の中に運んでも問題なく食事ができていた。しかし私が慣れてスムーズにできるようになってからは利用者の方がむせるようになった。もしかしたら、慣れた私のスピードが利用者の方に合っていなかったのではないだろうか。」

 私は、利用者の立場に寄り添った視点で書かれたこの記録にとても感動しました。

 うまくできるようになったほうが、相手に喜ばれるはず。手際よく、無駄なく、スムーズにできた方が上級者。私たちはそういう価値観で物事を測りがちかもしれません。しかし、介護・福祉の場面では「上手さ」より「相手に合っているかどうか」という「寄り添う心」が大切。これは、教育の場面でも言えることだと思います。いくら教科指導の技術が向上しても、目の前の生徒に響かなければ自己満足でしかない。
 介護実習にひたむきに取り組む生徒の反省は、人と向き合う仕事に従事するすべての人が真摯に受け止めるべき言葉だと私は思いました。

(写真は「生活支援技術」の授業風景。高齢者役(半身まひの設定)でベッドに腰かけている生徒の衣服の着脱介助を、3年生が実際に行いながら2年生に教えているところです)