令和5年度 入学式 ー式辞ー

令和5年度 入学式 

                                          式 辞

 霊山に美しい緑が映え、新たな門出にふさわしい季節となりました。本日は、PTA全日制会長 佐藤成人様、定時制会長 佐藤恵美子様をはじめ、ご来賓並びに保護者の皆様方のご臨席を賜り、ここに令和五年度 入学式を盛大に挙行できますことは、この上ない喜びであり、心より感謝申し上げます。

 

 ただいま入学を許可しました326名の新入生の皆さん、入学おめでとう。在校生、教職員ともども心から皆さんを歓迎いたします。

 

 本校は、創立122年目を迎える歴史と伝統を誇る専門高校で、「正確・勤勉・健康」の校訓のもと、この学び舎を巣立った同窓生は3万2千名を超え、大分県内はもとより、日本のみならず世界中ですばらしい実績をあげ、活躍しています。

 近年の工業教育は、社会の急激な変化に伴って大きく変わり、「不易」と「流行」のバランスが必要となっています。「ものづくりによる人づくり」の精神は「不易」、しかし、つくる「もの」は変わり、ものの「つくり方」も時代とともに進化しているため、「流行」となる探究やDX・SDGsへの対応が大切です。そのためには、地域・産業界や行政機関、大学と連携し、最先端技術を知る必要があります。そこで、大分工業高校では、今後、授業や課題研究などに、産学官連携事業を進めて参ります。

 

 さて、皆さんは今、新たな高校生活への不安の中にも、夢と期待で満ち溢れていることと思います。そこで、高校生活のスタートに当たり 私の思いを二つ申し上げ、お祝いの言葉にしたいと思います。

 一つ目は「様々なことに、目標を持ってTRYしよう!」です。
高校の三年間、四年間は何でもできます。授業・実習、学校行事、生徒会、部活動、ものづくり、資格取得など、様々な活動に積極的に取り組んでください。「やらずに後悔するのではなく、やってみる」の精神で、有意義な高校生活を送って欲しいと思います。
昨年度は、SDGsの全国優勝をはじめ、ウェイトやボクシング、ものづくり競技会、ロボット競技で全国入賞を果たすなど、多くの部が全国レベルで活躍してくれました。また、資格取得には全校で取組み、全国工業高等学校長協会に加盟している五八八校の中で、四年ぶりに学校表彰を受賞しました。このように、成功すれば、なし遂げた達成感や喜びを感じ、新たなアイデアが生まれ、次なるステージへ進むことができます。
たとえ失敗したとしても、反省や改善を重ねることで成長に繋がります。さらに仲間と切磋琢磨する活動の中で、多様な考え方を受け容れることができ、個性と協調性のバランスを持った人へと成長するでしょう。「失敗こそ成長のもと」と言えます。
トライし続けた三年間・四年間の体験は、あなたたちの「強みや自信」に繋がり、「人間力」となり、必ずや「大きく変わっていく社会の中で、逞しく生き抜く力」となります。是非、高い目標を持って、様々な活動にTRYしましょう。

 二つ目は、「社会で起きていることを、自分のこととして捉え、自ら考えて行動しよう」です。
まず、新型コロナウィルスにより翻弄された社会と学校は、この四月から大きく変わります。マスク着用の考え方が見直され、学校の教育活動については、着脱の強制はせずに、一人ひとりの主体的な判断に委ねます。ただ、交通機関や病院、部活動の大会前や感染状況などに応じた配慮は必要です。これからの学校生活では、マスクを外す勇気、状況を考えて付ける勇気、つまり、「自ら考えて判断する力」が必要です。そして、大工生としての自覚のもとに、お互いの判断を尊重して、偏見・差別、誹謗中傷することなく、「相手を思いやる優しい心」を持って欲しいと思います。
 その他、地球温暖化による異常気象が続き、世界各地で、集中豪雨や巨大化する台風、大雪、山火事、干ばつが多発、未知の感染症も懸念されます。トルコでは大地震により甚大な被害がありました。南海トラフ地震も30年以内に70~80%の確率で起こると言われています。ロシアのウクライナ侵攻や北朝鮮のミサイル発射も危惧されます。
身近では自転車事故で、高校生が加害者にも被害者にもなっています。
自然災害や感染症、交通事故は、「何時どこで起きるか」、誰も予測はできません。「自分の命や、大切な人の命を守る」ため、わかり得る「正確な情報」をもとに、今、「社会で起きていることを、自分のこととして捉え、自ら考えて行動する力」を身に付けていきましょう。

 

 ここで、保護者の皆様に二つのお願いがあります。

 一つ目は、「少しだけ子どもの手を離し、自主性を見守ってあげてください。」
自分のことは自分でやらせて、先回りすることを控えて、自分の言動には責任を持たせてください。必ずや、子どもの成長を感じるはずです。
 二つ目は、「子どもの気持ちに寄り添ってあげて下さい」
子どもたちは日常の中で、自分にとって「大切」なものを、少しずつ増やしていきます。特に、高校の三年間は、喜びや哀しみ、悩みなど様々な感情が、日々生まれます。喜びは分かち合い、哀しみにはぜひ寄り添ってあげてください。

 

 結びになりますが、子どもたちが充実した学校生活を送り、豊かな未来を切り拓くために、私ども教職員一同、全力を尽くして教育活動にあたる所存です。どうぞ、本校の教育活動に対しまして、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 新入生の皆さんが、大分工業高等学校の一員としての自信と誇りを胸に、将来の夢に向かって、心身ともにたくましく成長することを祈念して、入学式の式辞といたします。

 

令和5年4月11日

 

                                                   大分県立大分工業高等学校 校長 佐藤 啓治