全日制 1学期終業式 式辞

令和8年7月17日
校長 江口 哲治

1学期終業式 式辞(全日制)

皆さん、こんにちは。今日で1学期が終わります。
学校での授業や、様々な行事、部活動などを通して、この1学期で自分がどのように成長できたか、ぜひ一度立ち止まって振り返ってみてください。少し振り返ってみますと、県高校総体では、バレーボール部の2年ぶりの優勝、女子柔道個人の優勝、社会総合スポーツ自転車競技等、多くの部活動でよく頑張っていたと思います。また、高校生ものづくりコンテストでは、全ての学科で優勝者が出るなど、素晴らしい成果を発揮してくれたと思います。明日は、高校野球の県予選でベスト8をかけ大分高校と対戦します。品位と品格を大切に、正々堂々と対戦し、持ち味を発揮してほしいと思います。

私はこれまで、いま工業を学んでいる皆さん一人ひとりが、これからの社会においていかに貴重な存在であるかという話をしてきました。そして、1学期のスタートにあたり、皆さんに2つのお願いをしました。覚えているでしょうか。

1つ目は、「一器一芸(いっきいちげい)」です。
本校は2年連続で「ジュニアマイスター認定全国上位30校」にランクインするという、素晴らしい実績を残しました。これは皆さんの努力の結晶です。夏休み中も、ぜひこの「一器一芸」に前向きに挑戦し続けてください。

2つ目は、「人に役立つことを考える」ということです。
どれほど優れた専門技術を身に付けても、他者や社会の「困りごと」に共感し、解決しようとする視点がなければ、その力は生かされません。皆さんの大先輩方は、「技術で日本を豊かにする」という強い志を持って、戦後の復興や高度経済成長を支えてきました。「この技術は誰の、何の役に立つのか」を常に考えてほしいと思います。
また、これは専門的なことだけではありません。困っている人に声をかける、家で手伝いをする。そうした日常の「人のために動く」習慣こそが、将来、社会を支える技術者としての魂(スピリット)を形作っていくのです。先日、暑い中土木科の3年生の生徒さんが、課題研究で正門の路上にペイントされている「止まれ」の補修を行ってくれました。ありがとうございます。

ところで、日本は世界一の健康寿命を誇る国ですが、先日、大変興味深いお話を聞きました。皆さんの世代は、なんと「107歳まで生きる人が50%になる」と推測されているそうです。つまり、高校を卒業した後に、まだ約90年もの人生が待っているということです。
この長い人生を、仲間と協働しながら豊かに生きていくためには、高校時代という多感な時期に「人としてのブレない軸」を作っておくことが何よりも大切になります。この夏休み、一人ひとりがしっかりとした目標を持って過ごしてください。

さて、今日はもう一つ、「モノを大切にする」ということについてお話しします。
私たちの身の回りにあるモノは、決して突然現れたわけではありません。誰かがデザインを考え、工場で働く人が材料を加工し、お店の人が運んで並べてくれたものです。一本の鉛筆や、今皆さんが着ている制服一つをとっても、そこには数え切れないほどの人々の手と時間が関わっています。

そのことに気づくと、モノは単なる「道具」から、大切な「パートナー」へと変わります。「壊れたら新しいものを買えばいい」という便利な時代だからこそ、汚れたら拭き取り、ほつれたら直す。そうやって「お手入れ」という手間をかけることで、モノに思い出が染み込み、かけがえのない宝物になっていきます。
そして、モノを慈(いつく)しむその優しい眼差しは、家族や友人、周囲の人々の気持ちに寄り添う「思いやりの心」へと育っていくのです。モノを大切に扱う態度は、自分の心や生活を丁寧に扱うこと、つまり「自分自身を大切にする(自己肯定感を育む)」ことと同義です。出会ったモノへの感謝を、忘れないでください。

仏教の教えに「一日一膳(いちにちいちぜん)」という言葉があります。
「1日に1回は、何か良い行いをしよう」という意味です。道に落ちているゴミを拾う、電車で席を譲る、元気に挨拶をする。そうした小さな善行を積み重ねることで徳が積まれ、巡り巡って良い結果が自分に返ってきます。生き方とは、こうした毎日の小さな心がけの積み重ねから始まるのだと、私は信じています。

(※ここで少し間を置く)
皆さん、一度顔を上げて、前を向き、少しだけ目を閉じてみてください。
……自分の日頃の行いを、少し振り返ってみてください。
……今、頭に浮かんだこと、よぎった想いを、これからどう行動に移していくか。
そこから、皆さんの新しい生き方が始まります。
(※間を置いて)
……はい、目を開けてください。

最後になりますが、最近「AIにできない仕事とは何か」がよく話題になります。
結論から言うと、「ヒトの五感(見る、聴く、嗅ぐ、味わう、触れる)を使う仕事」は、AIには決して代替できないと言われています。つまり、皆さんが体を使って学ぶ工業の技術や感覚こそが、これからの時代に最も強く求められるものです。

報道でもありました通り、大分工業高校は「高校教育改革の拠点校」に指定されました。今後3年間で、「15億8千万円」という大きな予算がつき、学校改革が進みます。学科の枠を超えた学びや、大学・高専・企業、地域との連携が本格化し、校内には最先端の設備を備えた新しい実習室「ラボ」が整備される予定です。この巨額の予算とプロジェクトは、国や社会が、大分工業の生徒である皆さん一人ひとりにどれほど大きな期待を寄せているかという、何よりの証(あかし)です。

この夏休み、中学生向けの体験入学や小学生向けの体験講座、部活動の大会や遠征、各種資格試験など、やるべきことは山ほどあります。特に3年生は、就職試験に向けてのラストスパートです。そして2学期には、体育大会や大工祭(だいこうさい)が控えています。

この夏を超え、心身ともに一回りも二回りも大きくなった皆さんと、2学期に元気な姿で再会できることを楽しみにしています。熱中症や事故などにはくれぐれも気をつけ、充実した夏休みを過ごしてください。これをもちまして、1学期終業式の式辞といたします。