令和7年度 卒業式 式辞

 大分川の水温み、校庭の木々の蕾もほころび始め、確かな春の息吹を感じられる今日の良き日。全日制PTA会長 長野幸男様、定時制PTA会長 岩田章子様をはじめとするご来賓の方々、また多くの保護者の皆様のご臨席を賜り、大分県立大分工業高等学校 令和七年度卒業式が挙行できますことは、本校教職員一同、この上ない喜びであり、心より御礼申し上げます。

 ただいま卒業証書を授与いたしました全日制課程301名、定時制課程11名の卒業生の皆さん、卒業おめでとう。皆さんの歩んだ3年間、あるいは4年間は、大きな変革の時期でした。新型コロナウイルス感染症において、令和5年5月の「第5類」移行を経て、ようやく取り戻した「日常」。その中で皆さんが仲間と共有した時間や空間は、何物にも代えがたい宝物です。
 
 全日制では伝統の体育大会。新種目を取り入れ、各科のリーダーが中心となり学科の威信をかけて戦った姿。汗と砂にまみれになりながらもゴールを目指す仲間へ送られた、全校一体の熱い声援。あの時の「あきらめない姿勢」と「絆」は、私の心に深く刻まれています。

 定時制の皆さんは、昼は職場で汗を流し、夜は学び舎で机に向かう。その尊い努力を続けながら、限られた時間で体育大会や文化のつどい等の行事に取り組み、「アットホームな大工定時制」をリードしてくれました。皆さんの存在は、本校の誇りです。

 そして、ここにいる卒業生全員が「一器一芸」の精神のもと、難関の資格取得へ向けチャレンジしたその志、最後の集大成の課題研究に主体的に取り組む姿は工業高校ならではの姿でした。ものづくりとしての専門の学習の成果を披露するものづくりコンテストでは県大会4部門で優勝し、県内にその存在感を示してくれました。また、全国高校生ロボット競技大会では6位敢闘賞受賞、高校生ロボット相撲全国大会では上位入賞チームとしての技術力の高さが評価され経済産業大臣賞受賞。まさに、日本一に限りなく近く、学校関係者をワクワクさせるような成果を見せてくれました。

 また、皆さんが進路決定に臨む際の真剣な眼差し、後輩生徒へ行った報告会、部活動や同好会、生徒会活動等で、後輩と接する時の先輩としての風格も、非常に印象深く、頼もしく感じました。


 ここで、地元大分から日本や世界を担う人材として飛躍しようとしている卒業生の皆さんに、今後に向けて次のお願いしたいと思います。それは、リーダーとして活躍してほしいというお願いです。日頃の学習活動で、工業高校ならではの実学に基づく実習と将来の進路のことを考える学習。これらの授業の積み重ね中で、皆さんひとり一人には、知らず知らずのうちに、技能や技術を身に付けたり、他者と協調する素晴らしい心が育まれていると思います。

 日本の全ての高校生約320万人のうち、工業を学ぶ高校生はわずか20万人です。高校全体の全国の平均求人倍率は4.1倍で、工業高校卒業者に対しては31.9倍と突出しています。まぎれもなく、これが現在の日本の現実であり、皆さんひとり一人は、日本の社会から期待されている貴重な存在です。

 さらに、最近、国は2040年を見据え、インフラなど社会を支えるエッセンシャルワーカーやものづくりなど理系人材の育成に向け、前例のない予算措置を決定いたしました。工業などの専門高校の割合を2割から3割へ増やす方針も示される中、これから皆さんへの期待はますます増していくものと思われます。母校大分工業高校で身に付けた学びを生かし、人に役立つことを考え、リーダーとして日本や世界、地元大分を牽引していってほしいと願っています。

 皆さんの学び舎「大分工業高校」はいつでもこの地に存在します。思い悩み壁に直面した時は、学校を訪ねてきてください。先生方と語らい、校舎やグラウンド、実習室を見ることで、きっと様々な懐かしい思い出とともに、皆さんに再び勇気と希望を与えてくれるでしょう。

 最後になりましたが、保護者の皆様、本日はお子様のご卒業、誠におめでとうございます。今まで支えてこられた苦労を思い返し、今日の佳き日を迎えたことに感慨もひとしおのことと存じます。今まで本校にお寄せいただきましたご支援ご協力に深く感謝を申し上げます。また本日、ご多用の中、ご臨席を賜りましたご来賓の皆様にも重ねてお礼を申し上げ、今後とも本校の教育活動にご支援ご協力をお願いいたします。

 いよいよお別れの時となりました。卒業生の皆さんひとり一人が、3年前、あるいは4年前の春に、伝統と歴史ある本校への入学を志してくれたことへの感謝と、尽きることのない惜別の思いを抱きつつ、皆さんの前途が健やかで希望に満ちたものであることを心からお祈り申し上げ、式辞といたします。

                                           令和8年3月1日
                                           大分県立大分工業高等学校
                                           校長 江口 哲治