全校集会式辞

令和7年10月23日
校 長 江口 哲治

 伝統の体育大会が終わり、その後、3年生にとって、部活動の最後の公式戦が始まりました。全ての大会を見に行くことはできませんでしたが、最後までどのように練習を積み上げてきたかとか、結果が思い通りにいかなかったことに対し、どのように受け止め、どのように心身ともに強くなろうとしているか、様々な場面で皆さんが格闘している素晴らしい場面を見させていただきました。今日は、自分の思い通りにいかないことが、実は大切という考え方があるという話をしたいと思います。
例えば、スポーツをしている小学生で、体格や運動能力に恵まれた人がいたとします。様々な大会に出て結果を出したとします。一点気をつけておかなければならないことがあると思います。それは、本当に血のにじむような努力して得たものなのか、それとも生まれつきのセンスで得たものなのか。
 学習でも同じです。担任をしているときに感じていたことですが、あまり大して勉強もせず得点を取る人が稀にいます。一方、努力しているが、なかなか得点に結びつかない人がいます。さて、その後、どちらが成長するか?。
 私もそうでしたが、若い時に、努力しているが、なかなか思うようにいかないことを、辛抱して我慢して変えていこうとする人が成長すると思います。いつかと聞かれれば、今です。だから、私が今までかかわってきた生徒さんにはそのことを伝えてきました。
 センスでできてしまう人は、普通にやればうまくいくので、我慢したりこつこつと積み上げていく経験に乏しくなってしまいます。だから意識的に目標を高くしなければ、成長できる機会を失いやすくなります。このようなことを考え日々過ごすことが、いずれは人生を豊かにすると思います。思い通りにいかないことが悪いのではなく、それを我慢して少しずつ乗り越えようとすることが大切なのです。このようなことを考え、日々を過ごしてほしいと思います。
 最後になりますが、私が皆さんにいつも話している2つのお願い、覚えてくれていますか?。一つ目は「一器一芸」、二つ目は「人の役に立つことを考えられるひとになってほしい」です。人の役に立つことを考えることは、周りのことを考えることにつながり、学校においては、困難な状況を変えようとチームやチームメイトのことを考える。チームやグループでこのような関係作りができれば、素晴らしい空間であると思います。
 以前、土木科の3年生の生徒さんが、校内のアスファルトが剥がれ、道路に穴が開いているところを安全に通行できるよう補修してくれたというお話をしたことがありましたが、今回は校内の段差をなくすため、工事を行ってくれました。大変、ありがとうございました。
また、8月の豪雨で被災した熊本県立小川工業高校支援のための募金活動を生徒会で行っていただいたところ、46,490円の募金となりました。先日、小川工業高校の校長先生とお会いする機会があり、生徒さんの募金のお話をしたところ、九州はひとつと思っていただいた生徒の皆さんに大変感謝しておりますと言われましたので、皆さんに披露させていただきます。
 最後に、日本全国に290万人いる高校生で、工業を学んでいる高校生は20万人、九州では3万4000人、大分県では3500人、1学年あたり約1200人。20年後、64歳までの生産労働人口は1500万人減少します。
だから、皆さんは、特別な技術を身につけた貴重な人材として、世の中から期待され、ワクワクするような明るい未来が待っている、その仕事にはリスペクト、尊敬されるものがあることは、4月の始業式、入学式で話したとおりです。
 今後も、学校全体、所属している学科、学年、クラスの中で行われる学校生活にワクワクし、困難なことへ挑戦し、勤しんでいきましょう。いよいよ大工祭の準備に入っていきます。体育大会で見せた大工魂を大工祭でも是非披露してください。