第73回卒業式 校長式辞

  式 辞

厳しい寒さを乗り越え、降り注ぐ日差しが優しくなり、命が躍動する春の訪れを感じる季節となりました。
この陽春の良き日に、多数のご来賓の皆様、そして保護者の皆様のご臨席を賜り、令和七年度大分県立 大分東高等学校の第七十三回卒業式を挙行できますことを、心より厚く御礼申し上げます。

ただいま卒業証書を授与しました、六十四名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。
皆さんは、三年前、夢と希望に胸を膨らませ本校に入学しました。以来三年間、「自律・努力・友愛」の校訓の下、勉学や部活動、生徒会活動、学校行事などに全力で取り組み、日々自らを鍛え、そして成長し、本日晴れて卒業の日を迎えました。

今後皆さんは「高校時代」というステージを終えて、次のステージへと歩みを進めていきます。
大学や専門学校へ進学し、より専門的な勉強をする人、就職して社会人となり、経済的にも精神的にも自立する人、その道は様々ですが、未知の世界に対する希望と不安とが混在し、さらには自分で道を切り開いていくという高揚感に包まれているのではないでしょうか。
これは、もちろん皆さんの努力と研鑽の結果であると思います。
しかし同時に温かい愛情を持って励まし支えてこられたご家族や先生方、先輩・後輩、さらには地域の方々など、多くの人々のお陰であることを決して忘れてはいけません。
この人生の節目に当たり、お世話になった方々へ 素直に感謝の気持ちを伝えてもらいたいと思います。

さて、本日、皆さんを送り出すにあたって、心に  とどめておいて欲しいことを二つお話します。

一つ目は、十三世紀に活躍したペルシア文学史上最大の神秘主義詩人であるルーミーが述べた言葉です。 
それは「Before you speak, let your words pass through three gates : Is it true? Is it necessary? Is it kind?」というものです。
「話す前にその言葉を『三つの門』に、くぐらせなさい。それは真実か。それは必要か。そこに思いやりはあるか」という意味になります。
現在の世の中には、インターネット上のフェイクニュースに代表されるように、「偽の情報」や「誤った情報」が散見されています。
また噂話や悪口など、信憑性が低い内容もあります。まずは、自分の発言が「真実かどうか?」ということを確認することが大切です。
そして、内容が真実だとしても、その言葉は「必要か?」ということを考えることが重要です。
例えば、相手が気にしていて、言わなくても良い余計な言葉、あるいは、このタイミングで伝える必要のない言葉は、発言しないほうが賢明です。
最後に、その言葉に「思いやりがあるか?」ということが求められます。
相手を傷付けてしまう言葉は使わず、優しさや気遣いが感じられる発言をしていくことで、相手からの信頼度が高まります。
言葉の重みを意識して、良好な人間関係を築いていくことを期待しています。

二つ目は「チャンスは貯金できない」という言葉です。これはアサヒビール元社長で、中興の祖と言われている樋口廣太郎さんが述べた言葉です。
当時、危機的状況であったアサヒビールを再建してビール業界トップ企業に引き上げたことで有名であり、現在もアサヒビールはビール業界のトップシェアを維持しています。
チャンスは誰にでも必ず巡ってきますが、チャンスだと気付かずに逃してしまうことがよくあります。
あるいは、これはチャンスだと分かっていても、躊躇して行動しなかったために、過ぎ去ってしまうこともあるのではないでしょうか。
また日々転がっている小さなチャンスも、お金の様に貯めておくことができないため、後でやろうと先延ばしすると意味がありません。
適切なタイミングを逃すと、それはチャンスではなくなる。まさに「チャンスは貯金できない」のです。
様々な場面や物事に対して常にアンテナを張って、「チャンス」を見逃さず、躊躇することなく行動に繋げることが重要です。
勿論、行動する際には、目線を常に上げながら「小さな行動が大きな差につながる」ということを意識して、良い習慣となるまで継続して下さい。

皆さんが、良好な人間関係を築き、巡ってきたチャンスを確実に捉えて、積極的に行動することにより、素晴らしい夢が実現することを願っています。

保護者の皆様にお祝いを申し上げます。お子様のご卒業誠におめでとうございます。高等学校卒業という節目を迎えられ、これまでのご苦労も大きな喜びに変わっていることと存じます。この三年間にわたる本校へのご協力とご支援をいただきましたことに、お礼を申し上げます。ありがとうございました。

またご来賓の皆様、本校の教育活動にいつも温かいご理解とご支援をいただきまして感謝申し上げます。
これからも卒業生と本校への変わらぬご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。

結びとなりますが、卒業生の皆さんの前途に幸多からんことを心から祈念して式辞と致します。

令和八年三月二日
 大分県立大分東高等学校
校長 植野 慎一郎