学校案内
式 辞
厳しい寒さを乗り越え、降り注ぐ日差しが優しくなり、命が躍動する春の訪れを感じる季節となりました。
この陽春の良き日に、多数のご来賓の皆様、そして保護者の皆様のご臨席を賜り、令和六年度大分県立大分東高等学校の第七十二回卒業式を挙行できますことを、心より厚く御礼申し上げます。
ただいま卒業証書を授与しました九十七名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。
皆さんは、三年前、夢と希望に胸を膨らませ本校に入学しました。以来三年間、「自律・努力・友愛」の校訓の下、勉学や部活動、生徒会活動、学校行事などに全力で取り組み、日々自らを鍛え、そして成長し、本日晴れて卒業の日を迎えました。
今後皆さんは「高校時代」というステージを終えて、次のステージへと歩みを進めていきます。
大学や専門学校へ進学し、より専門的な勉強をする人、就職して社会人となり、経済的にも精神的にも自立する人、その道は様々ですが、未知の世界に対する希望と不安とが混在し、さらには自分で道を切り開いていくという高揚感に包まれているのではないでしょうか。
これは、もちろん皆さんの努力と研鑽の結果であると思います。
しかし同時に温かい愛情を持って励まし支えてこられたご家族や先生方、先輩・後輩、さらには地域の方々など、多くの人々のお陰であることを決して忘れてはいけません。
この人生の節目に当たり、お世話になった方々へ素直に感謝の気持ちを伝えてもらいたいと思います。
さて、本日、皆さんを送り出すにあたって、心にとどめておいて欲しいことを二つお話しします。
一つ目は、「春風を以って人に接し、秋霜を以って自らを慎む」という言葉です。
この言葉は江戸時代末期の儒学者であり、朱子学や陽明学の大家である「佐藤一斎」が「言志四録」の中で述べたもので、他人と自分に対する心の持ち方を説いています。
「他人に対しては春の風のように穏やかで和やかな心、伸びやかで寛大な心で接し、自分に対しては秋の霜のように烈しく厳しい心で律していかなければならない」という意味です。
昨今の風潮を見ると、残念ながら「人に厳しく、自分に甘い」というケースが余りにも目に付きます。
不平や不満を頻繁に口に出し、権利は主張するが、義務は果たさない。相手の迷惑を考えず、何かと自分だけが楽をしようを考える。
このような姿勢では、例え一時的に上手くいったとしても、継続して周りからの協力が得られないのは当然のことです。
春の風のように柔らかく、思いやりを持って接することで、周囲の人々との関係がより良いものになるでしょう。
一方で、秋の霜のように厳しく自己を見つめ直し、注意深く行動することも重要です。自分自身を律することで、成長や向上が促されます。
皆さんが、他者への優しさと自己への厳しさを両立させ、より豊かな人生を築いていくことを期待しています。
二つ目は「Dream big. Start small. Act now.」という言葉です。リーダーシップや自己実現に関して世界的権威であるカナダ人のロビン・シャーマが述べたものです。
「夢は大きく。小さく始める。今、行動しよう」という言葉は、今の皆さんにとって、まさに最適な内容ではないでしょうか。
皆さんの将来は、可能性に満ち溢れていますので、若者らしく夢は大きく掲げ、スモールステップとなる具体的な目標を立てて始めてください。
そして何より大事なのは、先延ばしせず、今、行動することです。
目線を常に上げながら「小さな行動が大きな差につながる」ということを意識して、良い習慣となるまで継続して下さい。
皆さんが、この「行動力」を着実に発揮して、素晴らしい夢が実現することを願っています。
保護者の皆様にお祝いを申し上げます。お子様のご卒業誠におめでとうございます。高等学校卒業という節目を迎えられ、これまでのご苦労も大きな喜びに変わっていることと存じます。この三年間にわたる本校へのご協力とご支援をいただきましたことに、お礼を申し上げます。ありがとうございました。
またご来賓の皆様、本校の教育活動にいつも温かいご理解とご支援をいただきまして感謝申し上げます。
これからも卒業生と本校への変わらぬご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。
結びとなりますが、卒業生の皆さんの前途に幸多からんことを心から祈念して式辞と致します。
令和七年三月三日
大分県立大分東高等学校
校長 植野 慎一郎