令和5年度修了式 式辞

令和5年度修了式 式辞
2024年03月22日
今日は令和5年度の修了式です。
以前から予告しているように、これがぼくの最後の式辞になります。
                     
君たちが本校に入学してから、1年あるいは2年が経過しましたが、学力やその他の点で自分自身で成長した、あるいは変化した実感があるでしょうか?
もしくは、自分の力不足を実感することがあるでしょうか?
いわゆる学力については模擬試験などもあるし、何より成績通知表もあるので比較的客観的に見ることができますが、それ以外の力となるとなかなか難しい。
                                 
ぼくもかつては高校生だったわけですが、高校卒業時点の目標を具体的にイメージできていたとは言い難い。同じことを43年前に聞かれたら、たぶん答えられなかったでしょう。
                      
そこで、スライドを見てもらいましょう。
これは、経済産業省が中心になって作った「社会人基礎力」です。
ここには、12の社会人基礎力が挙げられています。
順番に見ていくと、次のとおりです。
「主体性」「働きかけ力」「実行力」「課題発見力」「計画力」「創造力」
「発信力」「傾聴力」「柔軟性」「状況把握力」「規律性」「ストレスコントロール力」
何となく抽象的で分かりにくいですね。
でもこちらのチェックシートの着眼点を見ると一気に具体的になってきます。
                        
例えば、
「主体性」の着眼点は「指示がなくても、やるべきことを自ら見つけて取り組んでいる」
「計画力」では「手順、方法は、常に複数案を用意している」
「発信力」では「事前に話すポイントを整理している」
「規律性」では「社会のルール、マナーをよく守っている」
「ストレスコントロール力」では「自分なりのストレス解消法を考え実行している」
                      
ここまで、聞いてきて何を考えましたか?
ぼくが考えたのは、次のようなことです。
まず第1には、ここには高校の教育活動の全てが詰まっているということです。
何気なく実施されているさまざまな教育活動には実はそれぞれの狙いがあるということです。したがって、本校での教育活動に誠実に取り組んでいけば、(この誠実に取り組むということにいては、この後述べます。)これらの12の力が伸びる可能性があるということです。
そして、第2には、これらは決して高校生、専門学校生、短大生、大学生などのいわゆる社会人候補だけが用意しておく力ということではなく、現在の社会人も自分を振り返って確認する、または、身に付け直すべき力でもあります。ぼく自身もそうしたいと考えます。
                                  
そして、最後に最も必要だと思うこと(「誠実に取り組む」という点)について話します。
今、君たちはぼくの話を静かに聞いて暮れていますが、これはインプットです。
テレビを見るのも音楽を聞くのもスマホから情報を取るのも全てインプットです。
                                                      
授業も多くの場合、インプットです。このインプットで何を説明するのかを先生方は一生懸命に考えています。
しかし、インプットは実は楽です。そして、インプットでは、人はほとんど変わらない。人間はほとんど成長しない。ほとんど賢くならない。
                                                     
人が変わるのは、成長するのは、賢くなるのは、強くなるのは、ほとんどの場合、アウトプットだけです。自分が何をしたか、何を継続できたか、自分が何を言うことができたか、アウトプットこそが大事です。いくらトレーニングの動画を見ても自分がトレーニングしなければ身体は変わっていかない。それと同じことです。
                  
だから、君たちは、授業を受けている時でも、自分が先生の代わりに人に説明できるか、自宅に戻って自分が解くことができるのかを常に考えてもらいたい。今ももし、ぼくの言葉が少しでも届いているのなら、この後、自分がどういう場面でどういうアウトプットを増やす覚悟があるのかを自分に問いかけながら聞いてもらいたい。
                       
先ほど挙げた12の社会人基礎力を身に付けたい、伸ばしたいと思ったら、何をどうアウトプットするのかを考えてみてください。