令和5年度入学式・式辞

 今年ひと際鮮やかであった桜の満開の時期は過ぎたものの、吹く風に春の香りの漂う麗しい本日、多くの保護者の方々にご出席いただき、本校の第78回入学式を実施できますことに深く感謝申し上げます。
 入学式を挙行するにあたり、倉本英太郎PTA会長、和知孝裕同窓会長のお二方にご臨席を賜りましたことに、厚くお礼申し上げます。
                                                   
 ただ今、入学を許可いたしました196名の新入生の皆さん、ご入学まことにおめでとうございます。本校の創立は1911年(明治44年)で、今年、創立112年を迎えます。
 皆さんは中学校を卒業し、新たな学びを求めて本校へと入学しました。保護者の方々もお子様の新しい教育機関として、本校を選んでいただきました。
                 
 それでは、皆さんが考える学びの目的は何でしょうか。そもそも、私たちは、何のために学ぶのでしょうか。私は、我々人間の学びの目的は、より良く生きることだと考えています。そして、より良く生きることとは、自分の人生を人任せにせず、自分自身で精一杯引き受けることだと捉えています。
                          
 ここで、本校の校訓を紹介します。皆さんから見て、右前方に掲げていますが、「君の知性を磨け 君の人格を高めよ 君の身体を鍛えよ」です。この校訓は、私たちが自分の人生を自分で引き受ける時、知性と人格と身体の充実が必要だと語っているのです。
                     
 本校では、知性と人格そして身体・体力を充実させるためのさまざまなプログラムを用意しています。日々の教科の授業、部活動、生徒会活動はもちろんのこと、例えば毎朝の朝読書、これは10分の活動ですが、まさに継続は力なり、1週間で50分、3年間では約90時間を読書に充てることになります。読書はすべての学びの基本、そして、物語には、我々を癒し、励まし、諭す効果があることは周知の事実です。
                     
 そして、哲学対話。これは、重要なことだけれど、ちょっと難しいテーマについて、一人で考えたり、みんなで考えたりする取り組みです。さまざまな自分自身の課題、地域の課題を自分で探し出し、解決に向けて深く考える力、探究する力を育む活動です。
                          
 君たちには、このようなさまざまな活動において、自らの充実、自己を向上させようとする姿勢を期待します。そして、その場合、最も必要なのは主体性、自分で何かに取り組む態度、何かを自分で始めようとする意欲です。うまくいかなくても、何度も自分の力で、自分の意志で、粘り強く取り組みましょう。その時、何かが始まります。その時、何かが動き始めるはずです。
                   
 今、世界にはロシアによるウクライナへの戦争などの問題や気候変動などの課題があります。また、日本にも今後に暗い影を落としている少子化などの社会課題があります。これらの数多くの社会課題に食らいつく知性も君たちに求めたい重要な生きる力です。
                  
 本日、ご出席の保護者の皆さま、お子様の本校へのご入学、まことにおめでとうございます。今申し上げたように、本校では、生徒たちの豊かな人生のためにさまざまな教育活動を行ってまいります。どうか、ご理解とご協力をいただきますようお願い申し上げます。
 また、教育活動に対するご質問やご意見につきましては、いつでもお寄せください。特に、学校生活の基本は、生徒一人ひとりの安全安心です。学校生活における困りごとなどございましたら、すぐにお知らせください。
                    
 それでは、君たちの3年間が、本校の教育活動と君たちの主体性によって、充実したものになること、そして、社会課題の解決につながる学びになることを強く祈って式辞といたします。
            
令和5年4月11日
                
                                        大分県立中津北高等学校 校長 清永 伸一