在校生・保護者の方へ
令和5年度の第3学期の始業式に際して、式辞を述べます。
まず、個人的なことですがが、ぼくは、今度の3月で校長を定年退職します。その後も、教員として働くことになりますが、校長はあと3ヶ月で退任ということになります。
したがって、君たちに式辞を述べたり、あいさつをしたりするのもあと数回ということになります。
そして、全校生徒に対するあいさつというのは、今日が最後になります。
今日はぼくがずっと考えてきた、「生きることの意味」について話そうと思います。
ぼくは、物心付いた頃から死ぬのが怖く、ここで言う「生きることの意味」とは、こういう風に考えれば自分が死ぬことに少しは納得がいくだろうという主観的なものです。
ぼくは、「生きることの意味」とは、自分自身に「生きた甲斐」を貯め込むことだと思っています。
では、「生きた甲斐」とは何か?
ぼくの考える「生きた甲斐」とは3つです。そして、その3つは生まれる立場に関係します。
我々は、この地球の一員として生まれ、人間として生まれ、自分自身として生まれます。
第1には、「この地球に生まれたからこその経験をすること」です。
ぼくたちの周りには、さまざま花や美しい景色があります。我々はそれらに慣れてしまっていますが、時々、本当にこれらは自然界が生み出したものだろうかと思うことがあります。写真は、ぼくの通勤中に撮ったものですが、本当に美しい。日の出や日の入りも美しいし、満月も美しい。四季折々の自然は全て美しい。世界中には美しい景色がたくさんあるでしょうが、それを見なくても、自分の周りの何気ない美しさを自分に取り込むこと、これが第1です。
第2には、「人間として生まれたからこその経験をすること」です。
言うまでもなく、我々は先祖たちが作り上げてきた文明の上で生活しています。そして、文明は我々の先祖たちの知恵の歴史です。
それらについて知ること、これが第2の生きる意味です。
実は、高校で教えている数学も化学も美術も全て人類の知恵の歴史であることを指摘しておきます。
これを勉強と名付けてしまうと、やや意味合いが違ってくるのかもしれませんが、さまざまなものを見たり、知ったりすることで、我々の文明の本質を理解していく、そして、それらを自分に取り込んでいく。これが第2です。
第3には、自分に生まれたからこその経験をすることです。
自分がどういう人間なのかを見つめましょう。そして、自分が何をしたいのかを明確にしましょう。別に将来のことでなくても構いません。自分自身の選択を突き詰めましょう。そして、自分にとっての最善を見極め、ベストを尽くしましょう。
最後に、そのためには、地球の環境を守ることが大前提となります。現在、君たちが学校で行っている地球温暖化防止の取組も真剣に行ってください。