
学校からのお知らせ

創立120周年記念式典・あいさつ
2021年10月21日
大分県立日田林工高等学校の創立120周年にあたり、本日、各方面から数多くのご来賓の方々並びに式典関係者の方々にご臨席いただき、記念式典を開催できますことに深く感謝申し上げます。私からは、式辞として、3つのことを申し上げることに致します。
まずは、この120年という歴史についてです。本校は、1901(明治34)年10月1日、林科・蚕業科併置の大分県立農林学校として創立されました。1894年の日清戦争、1904年の日露戦争に挟まれたこの年から、120年の歳月、時間、歴史が流れました。この年月(としつき)を人間の活動、営みに置き換えると、およそ4世代ということになります。本校の在校生を基準に考えると、120年前に、君たちの4代前の祖先が、(3代前の祖先は曾祖父母ですが、4代前の祖先を高祖父母と呼びます)その高祖父母の方々が本校に入学したことになるわけです。
さて、大分県下で120年以上の歴史を持っている高校は、実は8校しかありません。そして、本校は、同じ専門科高校の大分工業高校と並んで、本年、120周年を迎えたのです。多くのものはお金で買うことができますが、お金では買えないもののひとつにこの「歴史」があります。これを「かけがえのない」と表現しますが、歴史があるということは、それだけ多くの人々がまさに伝統をつないできたということになるわけで、本校が今、ここにあることの大きな価値とお会いしたことのない当時の若き高祖父母の方々が抱いたであろう青雲の志に思いを馳せたいと思います。その後、本校が輩出した2万4千人以上の卒業生の方々は、我々のふるさとを支え、リードしていただいていることはもちろんのこと、全国各地でそして世界各地で活躍なさっています。
第2に、本校に脈々と息付いている挑戦意欲、チャレンジスピリットについて述べます。本校は幾度かの校名変更や学科の改編・改称を経験していますが、これは単なる呼称、呼び名の変更なのではなく、時代の要請を受けた、そして時代を先取りした、きわめて戦略的なものであったことが容易に推測されます。その理念は脈々と受け継がれ、林業科はもちろん、機械科、電気科、建築土木科にも共通しているはずで、数多くの我々の先輩たちが抱いていらっしゃったであろう、大いなる挑戦意欲に敬意を表(あらわ)したいと思います。
第3には、今述べた、時代の要請、社会的な流れについて述べます。前回の110周年からの10年間で、日田市は2度の大きな水害被害を経験しました。そして、今年のお盆の頃の大雨も記憶に新しいところです。そして、この「降れば土砂降り」というような大雨の傾向は、まさに地球規模で生じている地球温暖化の影響だと言わざるを得ません。また、10年前には、耳新しかったAI、人工知能についての話題は日常化し、現在では、自動運転の技術さえ実用化されようとしています。さらに、今や我が国は、人口減少時代を迎えました。そして、我々の郷土も人口減少という大きな波の影響を受けています。
我々は、本校の校訓「創造」が象徴する、そして、先ほど述べた挑戦意欲を持ってこれらの課題や状況に対応する必要があります。すなわち、林業、工業の領域で地球温暖化に対処する具体的な方法はどういうものか。AI、人工知能が各方面で浸透していく中で人間ができること、人間にしかできないことは何か。そして、人口減少社会にどう立ち向かっていくのか。我々は、これらの課題を踏まえて、日々の教育活動を実践していかなければなりませんし、生徒たち、君たちも日々の授業での学びを社会課題の解決に活かしてください。本日、実施するパネル・ディスカッションも大きなヒントになるはずです。
本校では、日々の授業の充実、資格取得の促進、部活動の活性化、主体的な生徒会活動等の総合力によって十分な学校満足度と進路実績を達成しており、専門科高校としての存在価値を大いに高めているところですが、120周年を期に更なる飛躍を目指していきます。
同窓会の方々からは、創立120周年にあたり、コロナ禍にも関わらず、多大なご支援をいただき、本当にありがとうございました。また、保護者の方々からも大きなご協力をいただきました。どうぞ、これからも変わらぬご支援ご協力をお願いいたします。
令和3年10月21日
大分県立日田林工高等学校 校長 清永 伸一