
校長室

[ コンテンツ・データ記載= 総務分掌 WEB担当 ] ※参考 = アイテム更新 3月 1日 (水)
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霊山の山を望む、ここ芳河原の地にも、春の息吹を感じられる季節となりました。PTA会長 佐藤成人様、佐藤恵美子様をはじめ、ご来賓の方々、保護者の皆様をお迎えして、ここに、令和四年度卒業証書授与式を盛大に挙行できますことは、私たち教職員・在校生にとりましてこの上ない喜びであります。心より感謝申し上げます。
ただ今、全日制266名、定時制10名の卒業生の皆さんに、卒業証書をお渡ししました。卒業おめでとう!担任の読み上げに、凛として応える皆さんの姿に、「逞しさ」を感じました。保護者の皆様も、これまでの子育ての大変さと喜びを、存分に味わっておられるのではないでしょうか。あらためて、心よりお祝い申し上げます。
皆さん、友達や先生の顔をしっかり覚えることができましたか?
思い出づくりはできましたか?
振り返れば、三年生は高校入試の前から、四年生は高校生活に慣れてこれからという時期に、新型コロナウィルスの感染拡大により、社会全体が翻弄されました。私たちの日々の生活は一変し、学校生活も混乱続きでした。『密であるはずの高校生活』が「三密を避ける生活」となり、マスク生活を強いられ、様々な行事も、中止や延期、縮小を余儀なくされ、皆さんの大切な三年間は、様々な制限を受けてきました。
しかしこの一年、皆さんと教職員・保護者が一体となって、「二度と帰ってこない大切な高校時代の思い出づくりは絶対に諦めない!」という強い気概を持ち、「感染防止」に努め、工夫を凝らすことで、コロナ前の『当たり前』の教育活動を、かなり取り戻すことができました。
コロナや熱中症と闘い完全復活した「体育大会」では、“仲間や先生との一体感、最後まであきらめない姿勢、相手を思いやる優しい心”を感じ、私たちは皆さんの『大工魂』に感動と勇気をもらいました。保護者の皆様にも、体育大会や大工祭の復活へのご理解とご協力をいただき、感謝の気持ちで一杯です。
授業や実習の集大成として臨んだ「課題研究発表会」では、堂々と自信を持って成果を発表する姿に、3年間・4年間の成長を感じました。「進路」では、何度も履歴書を書き直し、面接を重ね、進路先を決定しました。皆さんの頑張りとともに、先生方の厳しかった指導も、今は感謝ですね。
その他にも、厳しい日々の練習を乗り越え、各種大会で仲間とともに涙を流し、緊張感や達成感を感じた「部活動」、仲間と切磋琢磨して試行錯誤を重ねた「ものづくり活動や資格取得」、一所懸命に校則を考え「大工祭や文化のつどい」を盛り上げてくれた「生徒会」など、後輩や大工のために、みんなが活躍してくれました。全てが、良き思い出です。
『当たり前にできるって、難しくて、すごく幸せなこと』ですね!
このような様々な活動の成功や失敗の体験により身に付けた「人間力や社会対応力」こそが、AI・IoTなどの急速な技術革新やグローバル化など、大きく変わる社会で「生きる力」となります。
皆さんの3年間・4年間、特にこの一年の頑張りに心から拍手を送ります。
今日は、自分を存分に褒めてください。と同時に、ともに過ごした仲間や先生、何よりここまでずっと支え続けてくれた家族へ、今の『感謝』の気持ちを、必ず、言葉や手紙で伝えてください。
私は、教員生活36年の集大成の年に、大分工業高校で、皆さんと出会えたことを、大変うれしく思います。大分で一番幸せな校長です。
ここで、卒業に際し、皆さんに二つの言葉を送ります。
一つ目は、『新しい世界を知ろう』です。
高校生活では、修学旅行で知らない場所に行ったり初めてのスキー体験をしたり、部活動で全国大会に初めて出場したり、仕事やボランティア活動などの新たな社会体験をしたり、新しい世界を知って、様々な挑戦をしてきたことと思います。そこで、「やればできる」という自分の可能性を広げ、「逞しく生きる力」が身に付いたことと思います。
社会に出ても、「どうせ」って投げやりにならず、「もしかしたら」って、自分の可能性を信じて、新たな夢や目標に向かって、様々なことに、TRYし続けましょう。結果は必ず、後からついて来ます!
そして、新たな世界での「出会いを大切に」、自分の固定観念にとらわれることなく、世界観や価値観の幅を広げて、「人の縁を絆に」進化させ、「心の広い人」になってください。
二つ目は、『命を大切に』です。
地球温暖化による異常気象が続き、世界各地で、集中豪雨や巨大化する台風、大雪、山火事、干ばつが多発、さらに新型コロナウィルスのほか、未知の感染症も懸念されます。トルコでは大地震により甚大な被害が出ています。南海トラフ地震も30年以内に70~80%の確率で起こると言われています。ロシアのウクライナ侵攻や北朝鮮のミサイル発射も危惧されます。
これまで皆さんは、SDGsを意識した学びを進めてきました。自然災害や感染症などは、「何時どこで起きるか」、誰も正確な予測はできません。自分の命や、大切な人の命を守るため、今から「危機意識」を高め、正確な情報をもとに、「自ら考えて行動する力」を身に付けて欲しいと思います。家族や地域で一体となって、一人ひとりの『大切な命と財産』を守っていきましょう。
結びになりますが、私ども教職員一同、今後も地域に信頼され、卒業生が誇りに思い続ける学校となるよう、一層の努力を重ねて参ります。ご臨席いただきました皆様方へ重ねて感謝申し上げますとともに、引き続き、本校へのご支援・ご協力をお願いいたします。
私たちは、皆さんを応援し続けます。持続可能な世界を実現するため、技術の道で未来をひらき、自由と平和を表現する「校章」の金のハトのように、大きく社会へ羽ばたけ!
前途が健やかで、幸多からんことを祈念し、式辞といたします。
令和5年3月1日
大分県立大分工業高等学校
校⾧ 佐藤 啓治