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学校からのお知らせ

『令和 2年度・ 卒業式』学校長式辞を記載しました。
2021年03月03日

[ コンテンツ・データ記載= 総務分掌 WEB担当  ] ※参考 = アイテム更新  3月 3日 (水)  日時指定HP自動更新システムを適用。

 《 式辞 》

 冬の寒さもようやく和らぎ、豊後梅のほのかな香りと降りそそぐ陽光の眩しさに本格的な春の訪れを感じる今日の佳き日、本校PTA会長、朝来野雅之さま、篠田優子さまのご臨席を賜り、令和2年度大分県立大分工業高等学校「卒業証書授与式」がこのように厳粛に挙行できますことに、卒業生はもとより私ども教職員一同、心から感謝申し上げます。
 さて只今、卒業生に対しまして、本校における三年間あるいは四年間の課程を修了したことの証しとして、卒業証書を授与しました。全日制課程二六五名、定時制課程十三名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんの晴れの門出を心からお祝い申し上げます。また、保護者の皆さま、本日はお子様のご卒業、誠におめでとうございます。衷心よりお喜び申し上げますとともに、入学以来三カ年あるいは四カ年にわたり本校の教育活動に深いご理解と温かいご支援を賜りましたことに、謹んでお礼を申し上げます。誠にありがとうございました。
 本日卒業される皆さんは、創立以来一一九年の歴史と伝統を誇るこの大分工業高校で、「正確、勤勉、健康」の校訓のもと、勉学や部活動に励み、努力を重ね、それぞれの進路を達成し、心身ともにたくましく立派な若者に成長しました。特に、定時制課程を終えられる皆さんは、働きながら学んだ年月を振り返ると、平坦な道ばかりではなく苦労した日々も思い出されますが、その道を乗り越えた者のみが獲得できる「確かな自信」と「大きな誇り」を手に入れました。本当におめでとう。
 この1年間を振り返りますと、3月初めの突然の臨時休業、4月の始業式から僅か10日間の新学期、そして2回目の臨時休業。私の目には、生徒の皆さんのいない教室や体育館、放課後の静まり返ったグラウンド、これまでの教員生活で味わったことのない無色で空虚な空気をまとった景色でしかありませんでした。5月の連休明け、学年ごとの分散登校を経てやっと6月から学校再開。しかし、県高校総体・インターハイ、そして夏の高校野球大会、各種競技会の中止。7月には豪雨災害にも見舞われました。皆さんの中には、高校最後の目標として頑張ってきたスポーツなどの大会が無くなり、どこに向かって進んでいけばいいのか分からなくなった人も少なくありませんでした。みんな苦境を感じ、自分自身や家族・友人も含め、「今をどう生きるべきか?」と立ち止まり、あらためて自分を見つめ直す機会になりました。コロナ以前の生活では当たり前であったことが当たり前でなくなり、日常の風景が変わってしまったと感じました。「あらゆるものや人が自由に行き来できる世界」=「グローバル化」した日常を、世界中に拡がった新型コロナのパンデミックが大きく変えてしまいました。この現実は、我々人間にどのような警鐘を鳴らしているのでしょうか?我々は、日本国民としてだけではなく、この地球上にすむ地球国民として、どう生きていくべきかを問われている気がします。
 ここにいるすべての皆さんは、それぞれ一人ひとり幸せになるために生まれてきました。自分が幸せになることを人権といいます。人権とは、一人ひとりが幸福になる権利です。一人ひとりが持っていて主張しなければならない権利です。しかし、自分だけが幸福になって、まわりが不幸であっても、知らん顔でいられるのは人間ではありません。自分ひとりだけではなく、今、地球に生きている人類すべてが、十分に食べられて、住む家があって、戦争で壊されたりしないように平和が保たれ、子どもは行きたい学校に行って勉強できる。そういう状態ができてこそ、幸せです。
 国連で決議された「SDGs」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?「2030年の世界の姿」を達成するために必要な世界共通の行動計画のことです。「2030年の世界の姿」とは、「世代を超えて、すべての人が自分らしく、幸せに過ごせる世界」をつくることです。17のゴールが定められています。①貧困をなくすこと②飢餓をゼロに..⑤ジェンダー平等を実現..⑬気候変動に具体的な対策を..⑰パートナーシップで目標を達成。このグローバル・パートナーシップとは、国を超え、人種を超え、宗教を超え、多様な価値観を持った一人ひとりの人間としてお互いに認め合い、一緒に仕事をしようと手を組むことです。世界中の人が幸せに暮らしていける世界の姿、私も皆さんと一緒にそんな世界をつくっていく努力を続けたいと思います。
 皆さんはいよいよ四月から新しい生活がスタートするわけですが、就職や進学で社会に旅立つ皆さんの人生には、数え切れないほどの素晴らしい出会いや楽しい出来事が待っていることでしょう。そして、同時に想定を超えた自然災害など、苦しいことや辛いことも待ち受けているかも知れません。しかし、この大分工業高校で立派に成長した皆さんなら、グローバルで多様性あふれる世界を幸せにする地球国民のひとりとして、「大工魂」を胸に逞しく生き抜いてくれると信じています。そして、皆さんひとり一人の前途が光り輝き、楽しく充実した人生になることを心から願っています。
 終わりになりますが、保護者の皆さま方のご臨席に重ねて感謝申し上げますとともに、卒業生の皆さんのご健勝とご多幸、そして更なる活躍を祈念して、式辞と致します。


                                                                                                                             令和三年三月一日
                         
                                                                                                                                大分県立大分工業高等学校
                                                                                                                                 校長 原 勇人  

[ 記載画像は、『令和2年度・ 大工 卒業式』や『定時制教育振興会表彰式・記念品贈呈式』等のデータから編集した“セレクション.Ⅱ”。 ]