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学校案内
100年の「点」を繋ぎ、未来の知性を創る 別府翔青の『クロス教育』の原点
『 野口原の「グローバル」と「アカデミア」が、クロスする歴史 』
別府翔青高等学校 校長 小幡英二
私が深く影響を受けている言葉に、Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズが残した「Connecting the dots(点と点を繋ぐ)」というものがあります。
「将来を見据えて、点(ドット)と点(ドット)を繋ぐことはできない。過去を振り返ることでしか、点と点は繋がらない。だから、あらゆる経験が将来どこかで繋がると信じなければならない」
2026年度、本校は大いなる挑戦として、学科を「クロスアカデミア科(CA科)」および「ビジネスイノベーション科(BI科)」へと刷新いたしました。この一見斬新すぎるように聞こえる名称。実は、学校が位置する野口原の歴史と深い関係があります。
この街が歩んできた歴史を振り返ったとき、この「野口原」という地面の下に眠る100年のアカデミアの歴史のドット(点)が、驚くべき一本の美しい線として繋がり、この新学科へと結実していることに気づきました。これこそが、本校が実践する『クロス教育』の原点です。
(1) 第一のドット:野口原に蒔かれた「最高峰のアカデミア」
始まりは、今から100年以上前の大正13年(1924年)にまで遡ります。本校の目の前に、日本最高峰の理学研究の拠点である「京都帝国大学理学部附属物理学研究所」(現在の京都大学地球熱学研究施設)が開設されました。野口原の地は、大正時代からすでに、世界へ向けた「最先端のアカデミア(学問)」の種が蒔かれた土地でした。
(2) 第二のドット:突如現れた異国の世界。激しく「クロス」した文化
戦後この地が、大きなうねりをもたらします。
終戦後の昭和21年(1946年)、京都大学施設の前に、アメリカ軍の巨大な基地「キャンプ・チッカマウガ」が誕生しました。11年間にわたり、社交場や学校を備えた「完全なアメリカの街」がこの野口原に出現し、別府の市民は初めてリアルな異文化と激しく交差(クロス)することになりました。
湯けむりが立ちのぼる温泉街に、ジャズや洋風のライフスタイルが飛び込み、市民は強烈な異文化の洗礼を受けました。このダイナミックな融合こそが、別府の国際性のリアルな原点でした。
(3) 第三のドット:文教地区への変遷
昭和32年(1957年)、キャンプが全面返還されると、この野口原を「これからの日本を創る若者を育てるための
教育の地」へと変える方向へ舵を切ります。
まさに返還のその年(1957年)に「別府市立別府商業高校」が創立され、翌年この野口原の跡地へと移転。さらに昭和39年(1964年)には、同じくチッカマウガ跡地の敷地に「県立別府青山高校」が誕生します。そして昭和58年(1983年)には、大分のグローバル教育の先駆者として「県立別府羽室台高校」も開校し、別府の地でそれぞれが独自の輝きを放ち始めました。
1995年野口原の京都大学地球熱学研究施設の向いに、世界的建築家の磯崎新氏に設計された、別府国際コンベンションセンター「ビーコンプラザ」が竣工しました。グローバルタワーが別府の新たなシンボルとして輝き始めました。
(4) 第四のドット:2000年、APU開学と「世界の別府」への大転換
別府の街にさらなる大きな転換期が訪れます。2000年(平成12年)、別府の地に「APU(立命館アジア太平洋大学)」が開学し、街は一気に世界へと開かれました。このAPUの開学に合わせる形で、当時の別府羽室台高校に新設されたのが、本校のグローバル教育のルーツである「外国語科」です。
その翌年の2001年には、ニュージーランド ロトルアの「ウエスタンハイツハイスクール(WHHS)」と姉妹校関係を締結。それ以来、WHHSとの国境を越えた絆は、今年でちょうど「25周年」という四半世紀の重みを数えています。この伝統の国際教育のDNAが、現在の本校の「グローバルコミュニケーション(GC)科」へと脈々と受け継がれていくことになります。
(5) 第五のドット:結集した「別府翔青」の誕生と、多角的な包括連携
平成27年(2015年)、チッカマウガ跡地で歩んできた別府青山・別府商業、そして国際教育を紡いできた別府羽室台の3校が発展的に統合し、原点であるこの野口原に「大分県立別府翔青高校」として結集しました。すべての歴史とバトンが、この地に還ってきたのです。
同じ年(2,015)野口原には、世界的ピアニスト マルタ・アルゲリッチの「しいきアルゲリッチハウス」ができ、竣工式には本校吹奏楽部によるファンファーレが演奏されました。クラシックを間近に鑑賞できる環境が整いました。
開校から12年目を迎えた本校は歴史を持つリソース(資産)をさらに深く結びつけるため、多角的な包括連携を締結しています。2026年3月には立命館アジア太平洋大学(APU)との間でより強固な「高大連携協定」を正式に締結。また、別府の街で100年以上にわたり地域経済を支え続ける大分みらい信用金庫とも「地方創生包括連携協定」(2025年)を締結いたしました。さらにNZウエスタンハイツ高校とも画期的な「海外サテライト校パートナーシップ」のMOU(2025年)を締結しました。
今年6月には、徒歩5分に位置する野口原のアカデミア元祖「京都大学 地球熱学研究施設」で初の特別講義を開催しました。
最高知性(APU・京大)と連携し、100年の伝統を持つ地元の経済界(みらい信金)と深く交わる。この「世界(グローバル)」と「地域(ローカル)」が複雑にクロスする圧倒的な教育環境のもと、私たちが今年度スタートさせた学科刷新は、激変するAI時代を生き抜くネクストハイスクールとして昇華させたものです。
【クロスアカデミア科(CA)】(普通科)
京都大学施設での特別講義や、チッカマウガの「日米のクロス」という土地の歴史を活かし、分野横断型の探究を通じて AIに使われない強力なリベラルアーツを学ぶ。
【グローバルコミュニケーション科(GC)】(外国語科)
APU開学・羽室台外国語科新設から続くグローバル教育の正統な系譜。WHHSとの25年に及ぶ姉妹校交流を強みに、世界と渡り合う語学力と発信力を磨く。
【ビジネスイノベーション科(BI)】(商業科)
チッカマウガ返還の年からこの地で商業教育の歴史を創り上げてきた「別府商業」の伝統を受け継ぎ、100年の歴史を持つ「みらい信金」との連携を通じて、地域を舞台に地方創生を切り拓くイノベーションを起こす。
2026年7月、奇しくもあの「キャンプ・チッカマウガ」のルーツであるジョージア州から、世界トップクラスの名門大学のジョージア工科大学(Georgia Tech)の学生たちが、この野口原にやってきました。
地方の公立高校とアメリカの名門大学が、野口原で歴史的なクロスが実現しました。今後の定期的な交流も合意されました。
100年前の京都大のドット、80年前の米軍キャンプのドット、70年前の前身校創立のドット、25年前のAPU開学のドット、そして5つ目のドットである別府翔青での多角的な包括連携のドット。過去を振り返ったとき、すべてのドットが今、美しく繋がっています。
別府翔青高校の教育は、この野口原の地の100年の歴史と、先人たちの思いが育んだ、誇り高き「知(アカデミア)のクロス」と言っても過言ではありません。
私たちはここ野口原から、次の時代を創る新たなイノベーションを世界へ発信し続けます。