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学校からのお知らせ

第8回 卒業式《式辞》
2022年03月01日

 豊後水道を望む東方の四浦の稜線には、県南地域に早春を告げる河津桜が、学び舎を巣立つ卒業生の門出を祝うように、満開の花を咲かせています。また、西方の鎮南山山麓を彩る山桜が、新たな未来に臨む卒業生の期待を示すように大きく蕾みを膨らませている向春のよき日、ここに令和3年度大分県立津久見高等学校第8回卒業式を挙行できますことを深く感謝申し上げます。


 只今、卒業証書を授与しました 190名の卒業生のみなさん、卒業おめでとうございます。本日の喜びのそばには、この3年間みなさんのことを支えてくださったご家族と温かいご支援をいただいた地域の方々、苦楽を共に分かち合った友がいたことを思い出してください。お世話になった方々に「ありがとう」と感謝の気持ちを忘れないでください。


 振り返れば、新型コロナウイルス感染症防止対策のため、昨年度、そして今年度の本校の教育活動も大きく制限を受け対応した2年間でした。


 その中で、皆さんはたくさんの活躍を見せてくれました。昨日は皆勤賞や、つくみシュランや各専門科・スポーツなど多くの生徒を表彰することができました。生徒会活動では、歓迎遠足、津高祭文化の部、防災教育活動、花いっぱい運動を実施、部活動では特に今年度軟式野球部の九州大会準優勝、水泳部、レスリング部のインターハイ出場、フェンシング部の全日本選手権出場、家庭クラブ研究発表大会最優秀など活躍してくれました。


 また、商業科は「つくみ蔵」での販売実習や、文具店とのコラボで、網代島をテーマとしたボールペンの商品開発、そして工業科はブックマークの製作や保戸島小学校への出前授業、工業クラブ生徒研究成果発表大会優秀賞など、専門の学習を生かした取り組みで頑張ってくれました。先日の第6回研究成果発表大会では、普通科の「総合的な探究の時間」、工業・商業科の「課題研究」の成果を発表し、皆さんの「思考力・判断力・表現力」の向上を実感できた時でした。


 さて、これから皆さんが生きる21世紀はグローバル化やITの進化も含め、「先の見えない、何が起こるかわからない」社会と言われています。加えて「目に見えないもの」、新型コロナウイルスの世界的脅威「パンデミック」な事態が2年以上も続くとは、誰が予想できたでしょう。私はこれからの人生を生き抜くうえで手本となる考え方を渋沢栄一の生き方から学びたいと思います。


 2024年から一万円札の肖像となる渋沢栄一は江戸時代末期に埼玉県深谷市で農家に生まれ、明治時代に近代国家を建設するうえで大きな働きをして、「日本の資本主義の父」と呼ばれています。ヨーロッパ視察で大きな影響を受け、生涯に500もの会社を設立し運営に携わり、さらに教育や慈善事業にも取り組みました。彼はどのような経験や考えを持っていたのでしょうか。


 渋沢栄一の考えの一つ目は、「国が発展するには、官と民の両方が発展すること、そして利益は独占するものではなく、皆で利益を得るべきである」と述べています。


 二つ目は、彼の講演などでの口述内容をまとめた本「論語と算盤(そろばん)」の中で、利益追求だけでなく、筋の通った理念・道徳を持つこと、そして成功を収めても自分の身の丈を超えた地位や名誉を求めるものではないという考えを示しています。
ところで、皆さんに自宅学習に入る前、「なぜ働くのか」と「なぜ学ぶことが必要なのか」について書いてもらいました。その中で2人の文章を紹介したいと思います。


 「なぜ働くのか」について、電気科の生徒の文章を紹介します。

 

 「今まで、働くことは、自分の生活に必要なお金を稼ぐためだけのものだと思っていました。しかし、高校で将来について考えるにつれて、働くことはその仕事で人々を助けるだけでなく、新しいことについて学べる場と思えるようになりました。ただ働くだけでなく、自分が働くことで、社会にどのようにプラスになるのかという考えを持つようになりました。」
と書いてくれました。


 次に「なぜ、学ぶのか」について、普通科の生徒の文章を紹介します。


「私は、一度きりの人生を最大限に楽しむために学びます。「学ぶ」ということは、未知なことを知り、新たな疑問が生まれ、探究していく、その繰り返しだと思います。それにより知見がどんどん広がり、人生の進む選択肢も増えていくと思います。選択肢があればあるほど様々なことに挑戦でき、自分の可能性を見つける場が多くなり、人生が豊かなものになると思います。」と書いてくれました。2人とも、津久見高校の3年間の学びで、考えがより深く、広くなったと私は安心しました。


 では渋沢栄一はこの2つのこと「働くこと」「学ぶこと」について、どのように考えていたでしょうか。


 「なぜ働くのか」については、彼の「お金は仕事の残りかす」そして「仕事は趣味のように」という言葉に表れています。彼の学ぶべき考えの基礎となるものは、「世のため人のためになる」という志です。そして幼いころに「論語」を読むことによって、皆をよくするためにはどうしたらよいだろうという倫理観を身につけたことです。「お金は仕事の残りかす」というのは、お金儲けに気を取られてはいけない、仕事をやることこそが大事なのだという生き方です。さらに「仕事は趣味のように」とも言っています。趣味とは、思いや理想をもつこと、また好んで楽しむ、つまり探究心という意味で、ただ義務感だけで仕事をしたり、与えられた指示に淡々と従っているだけでは、成果は上げられないので、まさに「趣味」に打ち込むように、「こうやったらもっと楽しくなる」「こんなことやってみたい」という気持ちをもって仕事をするべきだと説いています。


 「なぜ学びが必要か」については、「学問は一種の経験であり、経験はまた一種の学問である」と考えました。フランスに渡った経験が大きな転機になった渋沢は、経験に勝る学問はないことを実感し、その後も学び続けることを辞めませんでした。彼の教えには、どんなに時代が変わろうとも道徳心という柱を持ち、学習する意欲・習慣さえあれば、変化に対応できるのではないかと読み取れると思います。


 渋沢栄一の考え方はビジネスから人生訓まで100年たっても通じる真理です。是非とも今後の人との出会いや経験、または読書を通して、いろいろな人の考え方、生き方に触れ、「働くこと、学ぶこと」の思い、考えをアップデートしてください。渋沢栄一の考え方・生き方を紹介して、卒業生への贐の言葉といたします。


 そして、保護者の皆様方に一言お喜びを申し上げます。お子様のご卒業、誠におめでとうご ざいます。今日までの十八年間、深い愛情をもって育んでこられたお子様の成長を振り返るとき、その喜びはいかばかりでありましょうか。本校教職員にとりましても、生徒の成長に立ち会えることは大きな喜び、そしてやりがいにつながっています。これまで本校教育活動に対してのご理解、ご協力、ご支援に、心より感謝申し上げます。


 結びに、卒業生190名の皆さん、そして保護者の皆様の益々のご健勝とご多幸を祈念申し上げ、式辞といたします。

 

 

令和4年3月1日    
大分県立津久見高等学校
校長 日永 達也