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学校からのお知らせ

『心の絆』(校長通信)第24号『金木犀カナリア色のつぼみ待ち』「風立ちぬ」
2013年10月07日

夏を惜しむ」俳句第6弾。3年5組予選通過作品。

・蝉の音とともに奏でた夏の日々

・袖通す機会逃した黄の浴衣

・蝉時雨すでにやみけり風の音

・日の盛り歓声の中球追った

・一週間命短し蝉人生

・淋しげな小道に独り百合の花

続いて6組の作品。

・亡き人の思い出に笑う夏の夜

・朝寒に月日の早さを思い知る

・出しただけ着ずに終わった浴衣かな

・来年は祖母に習おう心太

・稲妻に妨げられた登下校

面白いのは、同じテーマを扱っていても、「袖通す機会逃した黄の浴衣」と、「出しただけ着ずに終わった浴衣かな」のように、それぞれの作者の個性が表れること。前者は「黄の浴衣」と詠むことで、鮮やかな印象が鮮明になり、かつ体言止めによる余韻もあっていい。また、後者には、切れ字の「かな」が効いていて、浴衣を着ることができなかった無念さがにじむ。二人には、ぜひ来年浴衣に「再挑戦」を。

蝉の句が目に付いた(他のクラスでも)が、「蝉の音」が大きくなると、暑さも倍増し、「蝉時雨」となると一層つのる。それほどに今年の暑さは、激しかった。羽化して一週間の命であるがゆえに、その一生は哀しい。蝉の鳴き声も今となっては懐かしい。

夏休みを振り返り、お盆の光景や家族のふれあいをテーマにした句も多かった。そんな中で今回は、「来年は祖母に習おう心太」を解説する。おばあちゃん手作りの「心太」(ところてん)に舌鼓を打ったのだろうが、今年は受験生で作り方を習う時間はなかったというもの。微笑ましい句だが、さて、材料となるテングサ採り、海岸というか砂浜に行かねばならない。おばあちゃんには、来年と言わず、君がマスターできるまで元気でいてもらわないとなりません。

次に、優秀作者賞の作品を一挙公開する。6組のMさんの作品。全部で8句作ってくれたが、これが全部素晴らしい出来栄えなのだ。

・金木犀カナリア色のつぼみ待ち

・曼珠沙華朱の中揺れる白一点

・待宵の静かに鎮む梢の葉

・長い日のつくつくぼうしにひきずられ

・肌なじむ縮緬別れの秋初め

1句目は、まさに『』。中庭、1-6の廊下側外庭、昇降口近くと、幾つか校内には「金木犀」の名所があるが、その甘い香りも漂ってきた。「カナリア色」の表現もいい。曼珠沙華の句は「白一点」に惹かれるし、目に浮かぶ。白い曼珠沙華も探せば見つかる。「夏を惜しむ」のお題で、秋の風物がこうして出てきた。

校長通信2524.jpg 中庭の金木犀

こうして、君たちの作品を読んで、夏にピリオドを打ち、秋を迎えることができそうだ。次回での紹介をもって、この「夏を惜しむ」を締めたい。もし、自作、自信作がまだ手元にあれば、今週中にポストに入れるか、校長室まで届けてほしい。表彰もしたい。

先週は『さじを投げる』『惰眠を貪る』『杞憂』と、いくつかの慣用句や故事を並べた。今週は、「風立ちぬ」である。宮崎駿最後の映画と言うことで、この夏の話題をさらったし、君たちの中にも観た人がきっといるはずだ。映画の主人公の名前は、零戦の設計者堀越二郎だそうだが、堀辰雄の有名な小説に「風立ちぬ」がある。ストーリーや登場人物の名前にも、そのことがかなりの影響を及ぼしていると、その謎解きも話題だ。「風立ちぬ、いざ生きめやも

私が少し触れようと思っているのは、「風立ちぬ」の「」である。「風(が)立つ」は、風が吹くと解釈し、この風が立つのは、秋のこの時期だと思ってよい。問題は「ぬ」。同名の映画・小説のタイトルなのだが、「ぬ」の解釈の違いで随分と趣は変わる。

「テスト終わりぬ。いざ生きめやも。」3年生にとって正念場の秋。「挑戦」の二文字に気合いを入れて前進あるのみ。台風が立て続けに襲うが、仮に休校や自宅待機の事態になっても、自分にできることをやる。「風立ちぬ」とは、そんな決意の言葉だ。(10/7)