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学校からのお知らせ

17歳からのメッセージ グランプリ作品 
2012年12月08日

   「父と軽トラ」 佐伯鶴城高等学校3年  原田可奈子

  「あっ雨。」
 窓の外からはポツポツと雨の落ちる音が聞こえ始めた。曇った空とは裏腹に私の心は少し晴れる。なぜならいつもは自転車で約20分かけて帰る家路が『車の迎え』になるからだ。
 決して高級車が迎えに来るわけじゃない。でも、ある意味世界に1台しかない車。
『(丸)ヤ原田商店』とでかでかと書かれた軽トラだ。
 今でこそ軽トラだと自転車も積んで帰れるから便利だと思う。
しかし、確か私がまだ小学生の頃、この車で迎えに来られるのがイヤでイヤでたまらなかった。
軽トラで待つ父のもとに行くのが何となく恥ずかしかった。
「何でコレで来るん、恥ずかしいけぇイヤだ。」
不機嫌にそう言った私は、次の瞬間、激しく父に叱られた。
「うるせぇ、そんなにイヤなら歩いて帰れ。父ちゃんの仕事が恥ずかしいんか。」
 私はすぐに謝った。同時にすごく反省した。父の仕事を恥じたことは一度もなかった。まだ幼かった私だが、そんな事はもう二度と言わないと決めた。なぜなら父と父の仕事は私の自慢だから。
 放課後、いつものように父に電話をする。
  「雨降りだしたんやけど、迎えに来て。」
しばらくしてから、いつものように『(丸)ヤ原田商店』の軽トラで待つ父のもとへ駆け寄り、助手席へ乗り込んだ。