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学校からのお知らせ

2018年度『進路資料』総合版~巻頭言
2018年04月17日

ゴールを見据えて前へ
校 長  後藤 輝美

 ラグビーワールドカップ2019の試合が大分でも開催される。10月9日にはウェールズ対フィジー戦も組まれている。私的なことで恐縮だが、忘れがたい人物との出会いがあった。

「人生はラグビーみたいなもんさ!」ラツー・セレマイア氏は言ってのけた。かつてフィジーのナショナルチームのメンバーでもあった彼は、2000年2月8日、駐日フィジー大使としてひとり知事表敬のため来県した。大分空港でお迎えし県庁での知事への表敬訪問を済ませた後、空港へお連れする帰途雪で霞む別府湾を見下ろす温泉で私に語ってくれた。

「ゴールラインを目指し突っ走っていると必ず敵が倒しにやってくる。しかし、後ろにはいつも見方がいる。大事なことはボールを相手に渡さず、前に進むことだけさ。そうすれば、必ずゴールに近づくんだから。最後はテクニックより、ここさ」そう言って微笑みとともに左胸に親指を向けた。

 最終的な自己の完成を視野に入れ、高校時代に進むべき方向を捉えておくことは非常に重要である。そして残りどれぐらいでそこにゴールできるかをいつも把握できていればゴールの可能性は高い。自己の持っている可能性を放棄せず、粘り強く自分を前に押し出す志、体力そして努力が必要なのであろう。それを拒む実の敵は絶えず自分自身の内側にある。

 将来の世の中のありようを見通すのは相当難しいことであり、「あと10年もすれば今ある仕事もほぼ半分はないであろう、人工知能が現在、人がしている仕事の多くを受け持つ(オックスフォード大、マイケル・A・オズボーン博士ほか)などと予言(脅迫?)されては、不安をかき立てられ混迷の度を一層深めるばかりである。ならば、先のことはよくわからないのであるから、今の自分の思いを大事にし今できることを一生懸命やる以外ないではないか。将来思いは変化しても(それを深化・発展と呼んでも)一向に構わない。これまでも確実に見通しのきいたクリスタルな未来などなかったし、どんな時代にも先々に対する不安はあった。明日を既に生きたことのある人などこの世にはいないからこそ、そこに不安もあるが計り知れぬ希望があるのである。

 人間だけが動物の中で希望を抱き自己の成長のための行動計画を立てることができる。確実な未来は予想できないが、先輩からの知恵を受け継ぎこれまでの経験も生かすことが人間にはできる。

 この進路資料、Way to go!「進むべき道」は、"That's the way (to go.)"(口語では「いいぞ、その調子!」の意味にも)君たちのわくわくする夢の達成に役立てばという思いから作成された。先輩たちの努力の結晶であり、君たちへの期待でもある。行く手を照らす進路バイブルとなろう。生かさぬ手はない。活用を大いに期待している。"Where there's a will, there's a way." 「意志あるところに道は開ける(精神一到何事か成らざらん)」のである。

 クーデターで国情不安なフィジー(その年の5月27日現在)で、セレマイア氏はいかなる状況にあろうかと気になったが、彼のことだから必ずや政治家のフィールドでポールの真下ではないかもしれないが、少なくとも右隅か左隅にはトライをきめていることだろうと思ったものである。ラガーマンをテレビや新聞で見るにつけ、別れ際に見せた大使の自信に満ちた爽やかな笑顔を思い起こす。

 ♪我らに意気と力・夢と理想あ~り♪の君たち鶴高生一人一人の健闘を期待し、他日の栄冠を手にせんことを切に願う。諸君、ゴールを見据えて前へ。そして君のゴールにトライ!

後藤輝美校長とセレマイア氏