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学校からのお知らせ

終業式に寄せて(校長あいさつ)
2020年03月24日

終業式に寄せて

大分雄城台高等学校長 酒井 達彦

 

 3月24日は、学校の行事予定では終業式(修了式)が行われる予定でした。3学期に行われる終業式(修了式)は、次の学年へ進級を認めたことを宣言するための式です。幸い、ほとんどの人が進級を認められ、次のステップに進むことができたことを報告しておきます。さて、自宅待機となって3週間が過ぎました。新型コロナウィルスによる肺炎の感染拡大は世界的流行となり、ますます予断を許さない状況になってきました。治療法のない感染症の蔓延は恐ろしいものですが、私たち一人ひとりが正確な情報をもとに、学校から指示された内容に従って、この感染症に罹らない、拡散させない努力をしていかなければなりません。皆さんには、この努力とともに、毎日、規則正しい生活と今、自分がしなければならない勉強を、この自宅待機の期間に行ってもらいたいと思います。そして、登校が可能になった時には皆、元気な姿で再会しましょう。西郷隆盛の言葉に「雪に耐えて梅花麗し」という言葉があります。素晴らしい業績は、多くの困難を経て成し遂げられるものであるから、雪に耐えて美しく咲く梅の花のように、苦しい今や、これから来るかもしれない困難に立ち向かってほしいという願いが込められた言葉です。私から皆さんに、この言葉を贈り、今までの努力を称えたいと思います。そして、今後もこの言葉を忘れず未曾有の困難に立ち向かっていきましょう。毎日、雄城坂を登り、辛さを乗り越えてきた君たちなら必ずできると思います。がんばりましょう。

 奇しくも、およそ200年前の今日3月24日はドイツの細菌学者で医学者のロベルト・コッホの手により、結核菌が発見された日でもあります。結核は当時、治療法が見つからず、世界で最も恐れられていた病気でした。当時のヨーロッパでは、病死する人の7分の1を結核が占めていたといわれています。その後、この結核菌の発見により、治療法が確立し、今では、ほぼ完治する病気となっています。そして、結核菌を発見したこの日を記念日として「世界結核デー」が制定されています。人類は、その長い歴史の中で、幾度となくこのような病気と闘い、乗り越えてきました。今回の肺炎はウイルスによるもので、細菌による病気への対応とは異なりますが、今回も、この病気に打ち勝てるよう、一刻も早くその治療法が発見されることを強く願いながら、この困難に立ち向かっていきましょう。

 さて話は変わりますが、私は第45回卒業式の式辞の中で、江戸時代の末期(これもおよそ200年前)の儒学者であり、吉田松陰、西郷隆盛などに強く影響を与えた人物であるといわれる佐藤一斎(さとう いっさい)の『言志禄』(げんしろく)の中の言葉を引用し卒業生に送りました。それは「志を立て、これを求めれば、たとえ、薪を運び、水を運んでも、そこに道はあって、真理を自得することができるものである。まして、書物を読み、物事の道理を窮めようと専心するからには、目的を達せないはずがない。しかし、志が立っていなければ、一日中本を読んでいても、それは無駄ごとにすぎない。学問をして、聖者になろうとするには、志を立てるより大切なことはない」という内容のものです。皆さんはこの言葉から何を感じますか。「志」を立てて勉学に励むことの重要性を語っているのではないでしょうか。次に吉田松陰や西郷隆盛などと、ほぼ同時代を生きた福沢諭吉の言葉も紹介します。福澤諭吉の『学問のすゝめ』の十二編にある書生の話です。この話は有名ですので、ご存知の方も多いと思います。

 書生は国を離れて長い間江戸で勉強しました。偉い先生たちの教えを日夜怠らず写し取ったところ、数年間で数百巻にもなったそうです。ついに学問もなったので書生は故郷へ帰ることにしました。自分は東海道を下り、写本は葛籠(つづら)に入れて船で送りました。不幸なことにその船は、遠州灘のあたりで難破してしまい、自分は故郷に帰ったものの、学問はすべて海に流れてしまって、身についたものは何もなく、その書生の愚かさは、勉強前と変わらなかったというお話です。福澤は「学問の要は、活用に在るのみ。活用なき学問は無学に等し」と言い切り、この書生の話を例として挙げています。

 学問を修めたいと志をたてて江戸まで出向いたにもかかわらず、故郷へ帰る途中、書物が海に流れてしまって、学問をする前と変わらなかったと評された書生は、学びの基本姿勢として「その学問の本質的なところは、何なのかを常に自問自答しながら学び、どうすれば、その学んだことを人のために使うことができるか」という視点が欠けていたのではないかと、私は思います。

 来年度から本校では、「ESD」(持続可能な社会づくりの人材を育成する教育)を取り入れた学校づくりを始めます。その1つである「SDGs」(持続可能な開発目標)などを材料として、これからの時代を生きる皆さんに力強い「志」と、しなやかな「活用力」を身につけてもらいたいと思っています。君たち一人ひとりには優れた才能があります。これからの高校生活を人生の礎としていくために、友人と共に切磋琢磨し、主体的に考えながら学び続け、自分のため、人のため、夢のために向かって、新年度も精いっぱい努力してください。