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校長室

平成31年度 入学式式辞
2019年04月14日

 桜の花がひらひらと舞い降りる暖かな春の佳き日、本日ここに多くのご来賓並びに保護者の皆様方のご臨席を賜り、大分県立大分工業高等学校 平成31年度入学式を挙行できますことは、この上ない喜びであり、心から感謝申し上げます。 

 ただいま入学を許可いたしました全日制課程280名、定時制課程12名 計292名の新入生の皆さん入学おめでとう。在校生、教職員ともども心から皆さんを歓迎いたします。

 また、本日ご列席の保護者の皆さま、お子様のご入学、誠におめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。

本校は、明治35年2月 別府町および浜脇町両町組合立工業徒弟学校として設立され、昭和28年に現在の校名となり、全日制課程 機械、電気、電子、建築、土木、工学化学科の6学科、定時制課程 機械、電気科の2学科を有し、本年度創立118年目を迎える歴史と伝統を誇る工業の専門高校です。この学び舎を巣立った同窓生は、3万名を超え大分県内はもとより日本のみならず世界中の産業界を支え、リードする有為な人材として活躍しています。新入生の皆さん方はその先輩方の高い志を受け継ぎ、大分工業高校の名を世界中にとどろかせる使命を背負って入学してきたことを先ず心に刻んでください。

さて、まず最初に本校の教訓を紹介します。

先ず一つ目は、「正確」です。真の技術者を育てる工業高校として、「正確」な判断、知識、行動を心掛けてほしいということから、最初に「正確」の言葉を掲げています。工業のものづくりには欠かせない言葉であり、大工生の基準となります。

二つ目は、「勤勉」です。自分を高める意志を持って、勉学等に励んでほしいということです。自分でルールを決め実行してください。自分で決めて実行することが大切です。

三つ目は、「健康」です。健康な体そして健康な心は、どの時代においても、たくましい自分を創っていくための基礎となります。

 校訓の紹介をしました。「正確」、「勤勉」、「健康」です。校訓には、時代の変化を見越した真理が定められています。社会は、ますます多様化し、変化を続けていきますが、3年間の高校生活で「正確、勤勉、健康」を心掛け、その基礎が身につくよう大切に過ごしてもらいたいと思います。

次に、「一器一芸(いっき いちげい)」という言葉を紹介します。漢数字の一と器という文字、そして同じく漢数字の一と芸術の芸の一文字の四文字です。「一器」とは、物事に役立つ才能を持った個人であり、有能な人物・資質という意味です。芸とは、修練によって身につけた技術、特に学問や武術の技能という意味です。即ち、「一器一芸」とは、皆さん一人ひとりがそれぞれ特徴を持った個人であり、他人に誇れる技術あるいは技能を身に付けてほしいということです。本校で学ぶ3年間で、何かをつくりだせる一芸、教科の勉強、実習の技能、部活動や趣味、どの分野でもよいので、自分は「これが出来るんだ」という何かを習得してほしいとの願いが込められています。

この言葉を最初に提唱したのは、本校の第十七代校長を務めたられた小野伊三郎校長先生です。校訓とともに現在に受け継がれる行動目標としての言葉です。皆さんがいろんな場面で遭遇する言葉なのでしっかりと覚えておいてください。

さて、皆さんは司馬遼太郎(しば りょうたろう)という小説家をご存じでしょうか?代表作には「竜馬がゆく」「坂の上の雲」など、戦国時代から明治時代までの歴史を扱った作品が沢山残されています。その司馬さんが、「21世紀に生きる君たちへ」というタイトルのエッセーを書き残しています。その中の印象的なメッセージを紹介して、今高校生活のスタート地点にいる皆さん方へ私からのお祝いの言葉としたいと思います。

君たちは、いつの時代でもそうであったように、自己を確立せねばならない。-自分に厳しく、相手にはやさしく。という自己を。そして、すなおでかしこい自己を。21世紀においては、特にそのことが重要である。

(中略)

自然物としての人間は、決して孤立して生きるようにはつくられていない。このため、助け合う、ということが、人間にとって、大きな道徳になっている。助け合うという気持ちや行動のもとは、いたわりという感情である。他人の痛みを感じると言ってもいい。やさしさと言いかえてもてもいい。「いたわり」「他人の痛みを感じること」「やさしさ」みな似たような言葉である。この三つの言葉は、もともと一つの根から出ているのである。根といっても、本能ではない。だから、私たちは訓練をしてそれを身につければならないのである。その訓練とは、簡単なことである。例えば、友達がころぶ。ああ痛かったろうな、と感じる気持ちを、そのつど自分の中でつくりあげていきさえすればよい。この根っこの感情が、自己の中でしっかりと根づいていけば、他民族へのいたわりという気持ちもわき出てくる。君たちさえ、そういう自己をつくっていけば、21世紀は人類が仲よしで暮らせる時代になるのにちがいない。鎌倉時代の武士たちは、「たのもしさ」ということを、たいせつにしてきた。人間は、いつの時代でもたのもしい人格を持たねばならない。人間というのは、男女とも頼もしくない人格にみりょくを感じないのである。もう一度くり返そう。さきに私は自己を確立せよ、と言った。自分に厳しく相手にはやさしく、とも言った。いたわりという言葉も使った。それらを訓練せよ、とも言った。それらを訓練することで、自己が確立されていくのである。そして、”たのもしい君たち”になっていくのである。以上のことは、いつの時代になっても、人間が生きていくうえで、欠かすことができない心がまえというものである。君たち。君たちはつねに晴れあがった空のように、たかだかとした心を持たねばならない。同時に、ずっしりとたくましい足どりで、大地をふみしめつつ歩かなければならない。

1987年、教科書「小学国語六年下」に収録された文章の一部を紹介しました。

皆さんには、「人間は、自分で生きているのではなく、大きな存在によって生かされている」ということを心にとめ、たくましい自己を確立してもらいたいと思います。

最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。生徒たちが充実した学校生活を送り、豊かな未来を切り拓くために、私ども教職員一同、全力を尽くして教育活動にあたって参る所存です。どうぞ、本校の教育方針、教育活動に対しご理解とご協力、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。 

本日、入学を許可した生徒が高校生活を経て、心身ともにたくましく、頼もしく成長することを祈念して、入学式の式辞といたします。

         

平成31年4月9日

大分県立大分工業高等学校 校長 原 勇人