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校長室

令和2年度 入学式 式辞
2020年04月09日

令和2年度 入学式 式辞

 

 穏やかな春の風薫る、このよき日に、保護者の皆様のご臨席のもと、令和2年度の入学式を挙行できますことは、本校にとってこの上ない歓びであり、心より感謝申し上げます。

 ただいま、入学を許可しました80名の皆さん、ご入学おめでとうございます。新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、式を簡素化せざるを得ませんでしたが、予定通りに皆さんを芸術緑丘高校の一員として迎えられたことは、何よりもうれしいことであり、教職員を代表して心よりお祝いを申し上げます。ご列席のご家族の皆様にも、心よりお慶びを申し上げます。

 さて、本校は今年で創立72年目を迎えます。今から72年前の昭和23年、第2次世界大戦後の混乱期に、別府を国際的な文化都市にしようという志により、音楽・美術・外国語の専門教育を目的に造られたのが、本校の原型となる「大分県立別府第二高等学校」でした。その後、「別府緑丘高校」と改称し、様々な改革を経て、昭和55年に大分市へと移転してきました。当時は「大分県立芸術文化短期大学」の附属高校でしたが、平成18年には、「大分県立芸術緑丘高等学校」となりました。

 この間、全国でも大変珍しい公立の芸術専門高校として、芸術文化の振興に貢献し心豊かな社会の創造に寄与できる人材の育成に努め、1万名を超える卒業生を世に送り出してきました。72年という歳月は、皆さんのこれまでの人生と比べても遥かに長いものです。この歴史と伝統の中に立ち、今の自分を見つめ、これから進むべき道を3年間でしっかりと見定めてください。そして、今日は、その一歩を踏み出す日でもあります。

 そこで、今日は、私から皆さんに高校生活を充実させるために取り組むべき、二つのことをお話しします。

 一つは、本校の校訓を体現するということです。体現とは、形のないものを具体的な形にするという意味です。本校は「自律・恕思・創造」を校訓としています。「自律」とは、自ら学び、考え、判断し、責任ある行動がとれるということです。つまり、学校生活においては、用意されたものをこなしたり、指示をじっと待ったりするのではなく、自分の目標に向かって、自ら考え、主体的に行動することが大切になります。「恕思」は、相手の立場や気持ちを尊重し、多様性を認めて協働できるということです。学校生活では、様々な場面において、自分と考え方や価値観の違う人と協働して何かをしなければなりません。その時に必要なのが、自分の視点から抜け出し、他者の視点に立って考え、行動する想像力、つまり思いやりの心なのです。そして「創造」は、自分と社会のために新しい価値を創造し、発信できるということです。芸術を学ぶためには既にあるのものを踏まえながらも、自らの豊かな感性で、新たなものを生み出していかなければなりません。それは、時に苦しく悩ましいものですが、同時に大きな喜びにもつながります。あきらめずに、粘り強く作品を完成させていくことが大切になります。

 高校生活を充実させるために取り組むもう一つのことは、皆さんがこの学校で学ぼうとしている「美術」や「音楽」というものが、社会にどんな役割を果たしているのかを考え続けるということです。現代社会には、環境問題をはじめ解決をしなければならない課題が山積しています。そして、その課題を解決するための新しい価値観を必要としています。なぜ私たちに芸術が必要なのか、なぜ私たちはアート感覚を磨かねばならないのか、それは、この社会の課題を解決し、よりよい未来を切り拓く新しい価値の創造のためだと言えます。芸術は、現代社会にどんな役割を果たすのか、答えは一つではありませんが、皆さんそれぞれの中に明確にその答えがなければなりません。3年間かけて、それを考え続けてください。私たち教職員も、芸術の新しい価値を見出すことによって、皆さんの活躍の場を生み出してしてゆくことが大切な使命であると考えています。ともに、同じ道を歩んでいきましょう。

 とても観念的・抽象的なお話を二つしましたが、この芸術緑丘高校は、皆さんを輝かせてくれる居心地のよい場所です。失敗を恐れず、何事にもチャレンジしてみてください。きっと充実した楽しい日々が待っているはずです。

 保護者の皆様、いよいよお子様の高校生活が始まります。この3年間は、独り立ちするための大切な準備期間となります。私たち教職員一同、愛情と厳しさをもってお子様の成長に力を尽くしてまいりますので、どうぞ本校の教育活動に対しまして深いご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

 最後になりますが、これから始まる学校生活での新たな出会いによって、新入生の皆さんの豊かな感性がさらに磨かれ、芸術緑丘高校の新たな伝統に繋がってゆくことを期待して、私の式辞といたします。

 

     令和2年4月9日

                                  大分県立芸術緑丘高等学校  校長  渡辺 智久