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校長室

芸術教育の責務
2013年07月18日

 本校に赴任してはや3ヶ月が経過しました。この3ヶ月間本校の生徒に接して感じたことは、生徒たちがそれぞ

れ自信に満ちあふれているように見えたことです。話しかけてくれる生徒たちは皆、矜持に満ちつつも極めて従順

で穏やかであると。これは、生徒の一人ひとりが自分の好きなことに真摯に向き合って日々努力している、その

充実感からくるものに他ならないのではないかと感じました。本校の柔らかな雰囲気はこのような生徒一人ひとり

が醸し出す情緒からなっているものと思います。聞いてみると、殆どの生徒は自分に自信があるとは言いませ

ん。しかし、音楽科にしろ美術科にしろ、ひとつの作品に精魂を込めてそれを仕上げ、また次に進む。そのような

達成感を積み重ねることで、次第に表情やしぐさが自信に溢れたものになっていくのではないか。私にはそのよう

に感じられたのです。

  また、本校は贅沢な程、正規の授業の中に個人指導が組み込まれています。音楽科では楽器ごとに専門の

教師陣を揃え(何と総勢で28名)、1対1のレッスンをふんだんに取り入れて授業が進んでいきます。美術科も、

油絵・彫刻・日本画・ビジュアルデザイン・クラフトデザインに分かれて授業を進めますので、専門の領域では極め

て少人数に分かれていくことになります。生徒の描きかけの絵がいつまでもイーゼルに掛けられ、美術教室の決

められた場所に確保されている。その場所はその生徒だけのための空間・宇宙に違いなく、このイーゼルが象徴

するように、この学校には一人ひとりの生徒にそれぞれの居場所があるのだと、理解できました。生徒たちの自

信に溢れた所作の背景には、このような「居場所がある」という思い、あるいは雰囲気も大きく影響しているので

はないでしょうか。

 芸術という教科は、「感性を高め、豊かな情操を養うことを通して心の教育に深くかかわっている教科である」と

されています。その芸術教科を専門的に履修し成長していく本校の生徒は、確かに「心」が育っている、育ちつつ

あるとも感じます。芸術そのものは癒しや感動を分かち合うことだと思います。そこには表現する上で愛・智恵・寛

大さ・信頼やユーモアが不可欠であり、芸術を学ぶ生徒たちは知らず知らずにそのような情緒を身につけて「心」

を逞しくしていくものだろうと思われます。そうであれば、職業としての芸術を求めてくる生徒だけではなく、このよ

うな芸術教育の果たす心の教育に期待して本校の門をたたく生徒や保護者にも、私たちはきちんと応えていかな

ければなりません。

 幸いにして、本校は4年制及び短期の国公立大学への進学率が50%を超えるという、普通科の高校ではにわ

かに信じがたい進学率を誇っています。高校時代に芸術を専門的に学ぶことを通して評価を得、国公立を中心と

した一般の大学・学部への進学の道を切り開く。先輩たちが本校の指導と自らの努力によって勝ち取ってきたこ

の道を、もっともっと大きく太いものにして、そのような期待に応えていかなければならないと強くその責務を実感

した次第です。

 

                                                校長  平井 義人