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校長室

奇跡の14ヶ月
2014年10月20日

 

                                         奇 跡 の 14ヶ月

 秋も深まってきました。生徒の皆さんは、定期演奏会や美術制作展に向けて日々頑張っていることと思います。また、2年生には待ちに待った修学旅行が近づいてきました。
 昨年、今の3年生と共に行った修学旅行の報告として、東京自主研修の時に私一人でぶらりと訪れた台東区竜泉にある「一葉記念館」のお話をしましたね。地下鉄三ノ輪駅の近くに同館があることは以前から知っていたのですが、なかなか行けなかったためこの機会に行ってみたのです。
 樋口一葉といえば国語の授業で「たけくらべ」や「にごりえ」を習った記憶が蘇るかと思いますが、彼女は24歳の若さで亡くなったということは忘れがちです。一葉は、戦前に発行された壱円札の神功皇后の肖像を除けば、最初に日本の紙幣に肖像が載った女性ということになります。日本の女性を代表するほど、文学の世界で成し遂げた業績は大きかったのです。
 ところが、その輝かしい業績は、亡くなるまでのたった14ヶ月の間に成し遂げられたものだったということを、一葉記念館の展示で知り衝撃を受けました。しかも、肺結核で亡くなる直前までの14ヶ月ですので、普通の人であれば闘病生活で何も出来ない時期だったと思います。このことを比較するために正岡子規の話もしましたね。この14ヶ月の間に、あの有名な「たけくらべ」も「にごりえ」も「うつせみ」も「大つごもり」も、書かれたのです。人が一生の間に成し遂げる仕事というものは、時間ではないのかも知れませんね。如何に集中した時間を過ごすかということなのかも知れません。一葉は、生死をさまよう重い病気を抱えながら、文学に対するほとばしる思いを諦めずに走り続けたのでしょうね。
 さて、皆さん。「定期演奏会」や「美術制作展」に向けて限界に挑んでいる皆さんの努力は、皆さんに奇跡の時間をもたらしているかも知れません。後に振り返って、あの時期が自分の成長にとってかけがえのない時間だったと思える人もたくさん出てくるに違いありません。漫然と過ごしてしまいがちな1年余の時間を、一生を代表する様な凝縮された時間として過ごす場合もあり得ると、覚悟をもって過ごしましょう。今、皆さんがそれぞれの発表にあたり、悩み苦しんでいるその経験は、将来の皆さんにとって宝物になるに違いありません。苦しみを乗り越えた皆さんの最後の頑張りに期待しています。
 本校の「定期演奏会」は10月25日(土)14時から音の泉ホールで行われます。「美術制作展」は閉館する芸術会館の最後の大きな企画展として11月18日(火)~24日(月)にかけて開催されます。いずれも多くの方々に来て頂けると良いですね。

                                                                

 

                                                             平成26年10月20日
                                                                 大分県立芸術緑丘高等学校
                                                                                             校長 平井 義人