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学校からのお知らせ

卒業式式辞
2021年03月02日

                              

式 辞

 

 早い春の訪れが感じられる今日の佳き日に保護者の皆様のご臨席を賜り、令和2年度大分県立日田高等学校全日制第73回・定時制第69回卒業式を挙行できますことは、本校にとりましてこの上ない慶びであり心より感謝申し上げます。
ただ今、晴れてこの日を迎えた全日制180名、定時制5名の卒業生に対しまして、本校における学業を成就したことの証として、はえある卒業証書を授与致しました。皆さん、ご卒業おめでとうございます。剛健、積極、明朗を校訓とする本校の所定の教育課程を無事修了し、めでたく卒業の日を迎えることができましたことは、一人ひとりがこれまでの在学中、たゆまぬ努力を積み重ねてきた結果であることは言うまでもありません。その努力に対し、心から拍手を送ります。また、卒業生を支えてこられた保護者ご家族の皆様、誠におめでとうございます。心よりお祝いを申し上げます。
 今日まで、皆さんが過ごしてきた高校生活とりわけ卒業前のこの一年間は、将来間違いなく歴史の教科書に載るであろう新型コロナ肺炎の世界的な大流行に翻弄されたものとなってしまいました。忘れもしないちょうど一年前に突然降ってわいた一ヶ月間の臨時休校に始まり、4月からようやく一学期が始まったと思いきや再びの臨時休校と、未だかつて経験したことのない毎日となってしまい、結果的に臨時休業期間は延べ31日間に及びました。部活動についても体育部では県総体はじめ8月の全国大会が中止となり、文化部でも大会やコンクールに出場ができなくなりました。部員のその苦しみや悲しみは想像するに堪えられませんでしたが、それまでの間、仲間たちと頑張ってきた日々はかけがえのないものであったと信じています。先を見通せないことが多い現代社会にあっては、大会という結果だけでなく、そこに至るまでの過程こそが何より大切だと思います。この経験をもとに今をこの一瞬一瞬をどう生きるかを大切にしていってほしいと思います。
 かくして今年度はいつになく、だれもが経験したことのないような暗く苦しく切なく悲しい出来事や社会状況が続きましたが、明けない夜はありません。今年度の全日制響櫳祭のテーマは「DAWN」でしたが、一般的な「夜明け」という意味のほかにも、「現れ出す、見え出す、わかり始める」といった意味があります。コロナ禍にあって、これまで当たり前に思っていたことや感じていたこと、行ってきたこと等それら全てが当たり前ではなかったことが見え始めわかり始めた一年となりました。と同時に、当たり前の毎日のありがたさをあらためて思い知る一年ともなりました。卒業という新たな人生への旅立ちに当たり、これまでの当たり前を見直すとともに、今この時々を大切に生きていくことをあらためて心にとめておいてほしいと思います。
 こうした中、定時制の皆さんは、より多くの感慨をもって今日の日を迎えたことと思います。日中、仕事を行ったり自分にとって大切な時間を過ごしたりした後、夕方からの授業は大変でしたが、その中にあって、なりたい自分を発見しその実現を図ろうと努力する姿を見ることができました。大規模改修により明るくきれいになった室内で静かにおいしそうに給食を食べながらも、自らを奮い立たせ、教室に向かう姿からは、皆さんの本当に強い学ぶ意志を感じさせられました。また体育祭では『やってみよう』のスローガンのとおり、体育館内のリレー競争で懸命に走ったり、床上でのカーリング競技を楽しんだりするなど、元気に精一杯頑張る姿を見ることができ、皆さんが愛してやまない定時制への熱い思いをひしひしと感じることができました。
 次に全日制の皆さんは、SSHの一員として全員が探究活動に意欲的に取り組み、地元日田や県内はもとより全国に向けて様々な研究成果を発信してくれました。結果として、全国SSH生徒研究発表会でのポスター賞の三年連続受賞など、すばらしい成果を上げるとともに、地元日田の地域創生につながる数多くの取組を行うことができました。響櫳祭は、例年のパトリアでなく校内での開催となりましたが、体育の部を含め、後輩たちをしっかりとリードしながら行事に没頭する姿は実に頼もしく、先輩としての責任を十分に果たしてくれました。
 さて、現代社会は急速な進化を遂げており、新たな社会の姿として「Society 5.0」が唱えられています。これは、ICTやIoTなどのデジタル革新により「社会のありよう」を変えることによって、社会が抱える様々な課題を解決しようとするものです。人工知能であるAIなどの最新テクノロジーの活用が期待されていますが、AIには自発的に課題や問いを立てたり、人間の欲求を理解したりすることはできません。課題や問いが本当に解決すべきかどうか、本当に価値ある問いなのかどうかは、欲求を持つ人間にしか判断できないのです。だからこそ、これからの時代を生きていく卒業生の皆さんには、自ら課題を発見し、他者と協働してその解決を図り、新しい知や価値を創造する力が必要なのです。
そこで、本日の卒業式にあたり、皆さんがこれからも成長し、新しい知や価値を創造する力を身に付け、新たな目標を達成することができるよう、はなむけとして三つのことをお願いしたいと思います。
 一つ目は、目標の達成に向けて、強い意志を持ち決してくじけないことです。病を克服した水泳選手の池江璃花子さんは、「逆境からはい上がっていく時には、どうしても希望の力が必要です。希望が遠くに輝いているからこそ、どんなにつらくても前を向いて頑張れる。」と述べています。皆さんも希望を見失うことなく、最後まであきらめず、くじけることのない強い心を持ち続けてください。
 二つ目は、目標の達成に向けて、前向きにチャレンジすることです。プロ野球で活躍したイチロー選手は、「今、自分にできること。頑張ればできそうなこと。そういうことを積み重ねていかないと遠くの目標は近づいてこない。」との言葉を残しています。まさにその通りだと思います。目標に近づくためには今できることに精一杯取り組むしかないのです。あの竈門炭治郎のように全集中で前に進んでほしいと思いますが、その際に留意すべきは「未来は今日始まるのであって、明日始まるのではない」ということです。これはローマ教皇ヨハネ・パウロ二世の言葉ですが、明日を待って明日から何かにとりかかろうと思っていると結局何もできません。今日何もしようとしない人に明日は来ないのです。失敗を恐れず可能性を信じて前に進んでください。
 三つ目は、目標の達成に向けて、明るく朗らかに振る舞うことです。コロナ禍にあって何かと後ろ向き下向きの雰囲気が社会を覆っていますが、この状態は未来永劫続くものではありません。明るく朗らかに振る舞うことは、必要なコミュニケーション技術であり、自分や周囲に元気をもたらすとともに、良好な人間関係を築き、相手を理解し自らを上手に働きかけるために効果的な手段です。グローバル化がますます進むこれからの社会にあって未知の相手と接する場面もさらに増えるでしょう。ぜひとも明るく朗らかに振る舞ってください。
 以上三つのお願いをいたしましたが、この三つはまさに本校の校訓である剛健、積極、明朗そのものであり、皆さんがこれまでの学校生活を通じて培ってきたものです。これから先の人生、思い通りにいかず様々な困難が待ち受けていますが、人生の選択肢は一つではありません。卒業後、どんな状況にあっても心を折られることなく、状況に合わせて柔軟に生き延びようとする力、すなわちレジリエンスを高めるためにも、日田高校で学んだ証として、校訓の三つをこれからもぜひ実践してください。
 ご承知の通り、日田高校は令和3年度に創立百周年を迎えます。私も在校生や先生方とともに、卒業生の皆さんはじめ多くの先輩方が築いてこられた伝統・文化をしっかりと継承して、この歴史ある日田高校を今後ますます発展させて参ります。
 終わりに、本日の栄えある卒業式を来賓の方々や在校生とともにお祝いすることができなかったことは皆さんに大変申し訳なくお詫びをいたします。
 では、保護者の皆様のこれまでのご理解とご支援に対しまして改めてお礼を申し上げますとともに、卒業生の皆さんの限りない前途を祝福して式辞といたします。   

大分県立日田高等学校
校長 河野 仁彦