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学校からのお知らせ

卒業式式辞
2020年03月01日

                              

式 辞

 

例年になく暖かい冬も終わり、より早い春の訪れが感じられる今日の佳き日に保護者の皆様のご臨席を賜り、令和元年度大分県立日田高等学校全日制第七十二回・定時制第六十八回卒業式を挙行できますことは、本校にとりましてこの上ない慶びであり心より感謝申し上げます。

ただ今、晴れてこの日を迎えた全日制百九十三名、定時制十一名の卒業生に対しまして、本校における学業を成就したことの証として、はえある卒業証書を授与致しました。皆さん、ご卒業おめでとうございます。剛健、積極、明朗を校訓とする本校の所定の教育課程を無事修了し、めでたく卒業の日を迎えることができましたことは、一人ひとりがこれまでの在学中、たゆまぬ努力を積み重ねてきた結果であることは言うまでもありません。その努力に対し、心から拍手を送ります。また、卒業生を支えてこられた保護者ご家族の皆様、誠におめでとうございます。心よりお祝いを申し上げます。

定時制の皆さんは、多くの感慨をもって今日の日を迎えたことと思います。日中、自分にとって大切な時間を過ごしたり、人によっては早朝から仕事を行ったりした後、夕方からは授業と大変でしたが、その中にあって、なりたい自分を発見しその実現を図ろうと努力する姿を見ることができました。暖かくおいしい給食を食べながら、自らを奮い立たせ、授業に向かう姿からは、皆さんの本当に強い学ぶ意志を感じさせられました。また行事では、昨年に引き続き『やってみよう』のスローガンのもと、部活動ではチームで頑張った高校県体、さらには卓球・ソフトテニスでの全国大会出場をはじめ、体育祭では体育館を精一杯使って懸命に走るリレー競争、床上でのカーリング競技など、のびのびとそして元気な活躍を見せてくれました。秋に本校を会場とした大分県定時制通信制生徒による生活体験発表大会では、大切な先生との出会いや定時制での学びへの誇りについて実体験に基づく心の込もった発表がなされ、皆さんが愛してやまない定時制への熱い思いは聴衆全員に共感と感動をもって伝えられました。

次に全日制の皆さんは、SSHの一員としてSSクラスのみならず、文系クラスも理系クラスも生徒全員が探究活動に意欲的に取り組み、その質・量ともに年々高まりを見せ、地元日田や県内はもとより全国に向けて様々な研究成果を発信してくれました。結果として、日本学生科学賞大分県優秀賞や全国SSH校による生徒研究発表会での昨年に引き続いてのポスター賞の受賞など、すばらしい成果を残すとともに、地元日田の地域創生につながる数多くの取組を行うことができました。部活動においても、限られた練習時間の中、県一位の実績を有するボート部をはじめ体育部や文化部の多くの部がすばらしい成果を残してくれたことは言うまでもありません。響ろう祭体育の部での、団ごとの一丸となった活動も実に見事で、後輩たちをしっかりとリードしながら競技や応援に没頭する姿は実に頼もしく、先輩としての責任を十分に果たしてくれました。締めに全校生徒が一つに固まって大きな声で校歌を歌う姿は実に感動的で、皆さんの姿は後輩たちのよき見本たるものでした。

さて、現代社会は急速な進化を遂げており、これまで歩んできた、狩猟社会農耕社会工業社会情報社会に次ぐ新たな第5番目の社会として、「Society 5.0」が唱えられています。この新たな社会は、ICTやIoTなどのデジタル革新により「社会のありよう」を変えることによって、社会が抱える様々な課題を解決しようとするものです。少子高齢化や過疎化などでますます増加する人的負担を軽減する方法として、IoTや人工知能であるAI、クラウド、ドローンなどの最新テクノロジーの活用が期待されていますが、ここで気を付けなければならないのは、AIを使って何をするのか、どのような課題を解決すべきかは、私たち人間が設定しなければならないということです。AIには自発的に課題や問いを立てたり、人間の欲求を理解したりすることはできません。課題や問いが本当に解決すべきかどうか、本当に価値ある問いなのかどうか、という点については、欲求を持つ人間にしか判断できないのです。だからこそ、こうした新しい時代を生きていく卒業生の皆さんには、自ら課題を発見し、他者と協働してその解決を図り、新しい知・価値を創造する力が必要なのです。あわせて、グローバル化が進展する中、世界的な課題解決という観点から、目指すべき社会として国連が提唱する「持続可能な開発目標であるSDGs」の17ある目標についても、それが達成できるか否かは、これからの新しい社会の主役となるまさに皆さんの肩にかかってきます。

ここで、本日の卒業式にあたり、皆さん方が今後大きく成長して、新しい知・価値を創造する力を身に付け、人生そして持続可能な社会実現に向けての目標が達成されるよう、はなむけとして三つのことをお願いしたいと思います。

一つ目は、目標の達成に向けて、強い意志を持ち決してくじけないことです。昨年ラグビーW杯で大活躍した日本代表選手たちのスローガンに「ワンチーム」という言葉がありましたが、選手によればただ集まっての言葉がけではワンチームは成立せず、あるべき目標を掲げてそれを実現するための一人ひとりの毎日の弛まぬ努力と鍛錬の上にこそ成り立つのがワンチームなのであると言っていました。これから先、自らが自らの可能性を最大限に開発してなりたい自分を実現するとともに、持続可能な社会を実現するには互いの意思や目標を共有し実現へ向けた粘り強い努力、なによりその過程こそが重要です。ワンチームは一朝一夕には実現できませんし、体の強さはもちろん心の強さが何よりも必要です。かつての南アフリカでのアパルトヘイトと戦ったネルソン・マンデラ氏は「何事も達成するまでは不可能に見えるものである」との言葉を残しました。最後まであきらめず、くじけることなく、自分自身と目指すべき社会の目標が達成されるまで粘り強く取り組んでいってください。

二つ目は、目標の達成に向けて、前向きにチャレンジすることです。大リーグで活躍したイチロー選手は引退の際に「後悔などあろうはずがありません」と言い切りましたが、なかなかそうは言えず人生に後悔はつきものです。以前私は皆さんに、2種類の後悔について話をしました。一つは「やって失敗した後悔」、もう一つは「やらなかった後悔」です。どちらの方が、後悔の度合いが大きいかといえば、それは「やらなかった後悔」です。「やって失敗した後悔」は努力の結果なので仕方ないと受け止めて次につながる前向きな後悔ですが、「やらなかった後悔」は次につながらない後ろ向きな後悔となります。後悔のない人生を送るのはとても難しいことですが、これからの人生において少しでも「やらなかった後悔」を減らすために、何事にも前向きにチャレンジほしいと思います。将来の変化を予測することが困難なこれからの時代にあって、そこにあるのは確実性ではなく、可能性のみです。失敗を恐れず可能性を信じて前に進んでいってください。

三つ目は、目標の達成に向けて、明るく朗らかに振る舞うことです。最近、あおり運転にあるように自分の機嫌を自分でコントロールできない人が増えつつあります。その解決には一人一人が自分の機嫌を整え、自分で自分の面倒を見る、すなわち自分の機嫌の整え方を身に付ける必要があるとされています。人と人とのコミュニケーションは技術で、性格とは関係ないので、それにはトレーニングが必要となりますが、その技術こそ笑顔なのです。これから先、思い通りにならず、つらいことがあるでしょうが、そんな中でも明るく朗らかに振る舞うことで、元気が湧いてきますし、周囲に元気を与えます。スマイルシンデレラと呼ばれる女子プロゴルファーのしぶのひなこさんも、プレッシャーを開放して自分をコントロールする武器として笑顔を使っていました。グローバル化がますます進むこれからの社会にあって未知の相手と接する場面はさらに増えるでしょう。明るく朗らかに振る舞うことは、必要なコミュニケーション技術であり、自分や周囲に元気をもたらすとともに、良好な人間関係を築き、相手を理解し自らを上手に働きかけるために効果的な手段です。ぜひとも明るく朗らかに「笑う男、笑う女」として振る舞ってください。

以上三つのお願いをいたしましたが、この三つはまさに本校の校訓である剛健、積極、明朗そのものであり、皆さんがこれまでの日田高校での学校生活を通じて培ってきたものでもあります。日田高校を巣立っても、日田高校で学んだ証として、これから先もずっと大切にしてほしいと心から思います。

ご案内の通り、日田高校は来年、令和三年度に百周年を迎えます。私も在校生の皆さんや先生方とともに、卒業生の皆さんはじめ多くの先輩方が築いてこられた伝統・文化をしっかりと継承して、この歴史ある日田高校を今後ますます発展させて参りたいと思います。

終わりに、本日の栄えある卒業式を新型肺炎予防のためとはいえ、来賓の方々や在校生とともにお祝いすることができなかったことは、皆さんに大変申し訳なく心からお詫びをいたします。

では、保護者の皆様の本校に対するこれまでのご理解とご支援に対しまして改めて敬意を表しますとともにお礼を申し上げ、重ねて卒業生の皆さんの限りない前途を祝福して式辞といたします。 

令和2年 3月 1日 

大分県立日田高等学校
校長 河野 仁彦